保守保守主義ということば、いとをかし。
いかに保守を保守し、守りを守るかにて、
何を守るやと問うことすら、無粋とされぬる世ぞ。
おのおのが語ること、
「日本とは」「伝統とは」「家族とは」などと
つづけざまに申すさま、まことに滑稽にして、
かくのごとき詞の花、咲くばかりにて実はなし。
批評というよりも唱和、
思想というよりも形式、
されど本人ら、得意気にて、
おのれを正義と疑わぬ様、いみじうこそあれ。
語りすぎる者の、
語らぬ者に及ばぬは常のことなれど、
この保守保守主義においては、
語ることで何かを守った気になれるゆえ、
ますます言の葉が軽くなるなり。
「保守とは何か」など問ううちは未熟なり──
と、申す者に限って、
保守のなかみに眼を向けぬものなり。
あはれなるかな、
ことばの空しきを以て、己が充たりと思う者よ。
その心、まことの静けさを知らず、
ただ叫ぶを以て、己を支えておるなり。