第9話 ガガーリン 前編
マツダの投げるヌンチャクは、キレイな放物線を描いて俺の右手に飛んできた。
宙に浮いている間に、通信販売のヌンチャクを思い出した。
が、しかし、右手の甲で叩き落とした。…ソレ、欲しくないから。
次の瞬間、ニヤリとしていたゴリラの顔が真面目になった。
左手に持ったナイフが、俺の右太腿にまっすぐ伸びてきた。
俺は、膝をかがめて、右手の親指と手首の間で、ナイフの下から跳ね上げた。
続けて、つま先で股関を蹴り、引いた足で反転して逃げ出した。
「マツダ、逃げるぞ」!
マツダは、砂を空中にばらまき、目潰しをしていた。
乗ってきたサベージにかけよると、案の定、エンジンがかからない。
単車の横にあったバットを拾って、振り回しながら、チェーンをかわしていると、ナイフが飛んできた。
避ける間もなく、明後日の方向に飛んでいったが、ゴリラはしつこいようだ。
バットで、再度股関を突き、ぴょんぴょんと空中散歩させてやると、カカカカとエンジンがかかったようだ。
「タクヤさん、逃げるであります」
既に、コロ助から、ケロロ軍曹に変わったマツダは、ヌンチャクと、落ちていた雑誌を拾って、ヌンチャクはズボンの背中に挟み入れて、雑誌をラーメンマン兄弟に投げつけた。
単車もチェーンで叩かれ、ライトやウインカーをが割られながら、どうにか2ケツで、隙間から抜け出したマツダは、「これから、どうする?」と聞いてきた。
「ダイナーに行ってくれないか」

