第17話 飾り付け 前編
キレてる電話の主は、勝手に喋らせといた。
金を楽して稼ぐのは難しい。
俺達も人数や時間を多くかけて、因縁も払いのけてやってる。電話に耳を傾け、相づちをうつ。
そういえば、赤ん坊が青いプールで泳ぐアルバムを、ファミリーの女の子がくれた。
1曲目からパンチの効いたリフらしいが、電話の主と一階の駐車場で、まだ牡蛎と戦うマツダに聞こえるボリュームで、ステレオにCDをセットする。
ベースが爆発的にうねる。
「おい、聞いてんのかよ!」
電話の主に応える。
「聞こえませんから、また連絡ください。喧嘩もおもしろければ買いますから、どんどん売ってください。」ガチャンと受話器を置くと、背中にライダースの悪い奴らが立っていた。
「お、リョウト達も来たのか?しかし、連絡してないのに速いな?」
最近、舌にピアスを入れたリョウトが、笑顔で応える。
「そこのファミリーマートで、ゆかりさんに会ったんすよ。」
ジュンがかぶせる。「ニルヴァーナを、こんなデカい音で、聞いちゃ苦情入りませんか?」
「あれ、ウチヤマは?」と俺がリョウトに聞くと、サトウが応える。
「ウッチーさんは、彼女送ってからくるそうです。」
あいつは表に彼女を出さないが、お嬢様らしい。
「じゃあ今日も飲むか」駐車場は車と単車で埋まり、隣家や道路まで、自転車部隊も集まり、通行止めになるだろう。
三保のマンションは、今夜も騒がしくなるに違いなかった。
