以前のブログに書いたように、スタチンを抗癌剤として利用できるのではないか、と考えて、研究が行われていたことがある。
一体どのような機序によってか?
「スタチンは細胞周期を停止させる。ということは、リダクターゼをブロックするスタチン(およびその他のカビ毒)を使えば、癌細胞の増殖も防ぐことができるのではないか」
この考え方に基づいて実験を行うと、実際確かに、癌細胞の増殖を止めることができた。ただし、ごく一時的に。
実験期間を長くすると、スタチンの投与によって、細胞はますます多くのリダクターゼを産生するようになり、Rasタンパクが阻害され、細胞周期が狂い始める。
現在流通しているスタチンは可逆性があり、citrinin(遠藤先生が研究していたカビ毒)やcerivastatin(バイエル社から販売されたスタチン)ほどの強い毒性がないため、癌を発症するまでには年単位の時間がかかる可能性がある。このあたりは、アフラトキシンの毒性が数週間で出るのと対照的である。
短期間の研究だけを見れば、スタチンは見かけ上、癌細胞の細胞周期をブロックしている。一見癌に効くように思えるが、それは全体像とは言えない。
短期的にではなく、本当の意味でリダクターゼを減少させるのは、植物性イソプレノイドである。

 

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