山崎製パンが展開するコンビニ「デイリーヤマザキ」。
ピーク時2500店舗あった店舗数は、現在約1250店舗。
約30年で半分まで縮小しています。
コンビニ業界でセブン・ファミマ・ローソンが拡大する中、
デイリーヤマザキは苦戦を続けてきました。
ただ、このニュースを見ていて思うのは
「単に弱かった」という話ではないということです。
むしろ経営の視点で見ると、
非常に示唆の多いケースだと感じます。
自由度の高さは「強み」だった
デイリーヤマザキの特徴は、
他のコンビニに比べて加盟店の自由度が高いことです。
例えば
・値引き販売が自由
・24時間営業を必須にしていない
・店舗レイアウトの自由度が高い
これは元々、
「山崎製パンの商品を扱う個人商店」が
コンビニへ転換する流れの中で生まれた仕組みです。
つまり本部と加盟店は
フランチャイズというより
卸先との関係に近かった。
この柔軟さは当初、
参入のハードルを下げる強みでした。
しかし「自由」が成長を止めた
一方で、大手3社は全く違う方向に進みます。
彼らが徹底したのは
標準化と最適化です。
・商品開発
・レイアウト
・物流
・PB商品
・店舗オペレーション
これらを本部主導で徹底的に磨きました。
結果として、
チェーン全体の生産性が上がった。
逆にデイリーヤマザキは
・店舗ごとに売り場が違う
・PBが弱い
・商品戦略が統一されていない
つまり
チェーンとしてのスケールメリットが弱かった。
自由度は強みでもあり、
同時に成長のブレーキにもなったわけです。
コンビニは「日販」がすべて
コンビニビジネスで最も重要な数字は
日販(1店舗あたりの売上)
です。
セブン 約70万円
ファミマ 50万円台
ローソン 50万円台
ミニストップ 40万円台
デイリーヤマザキも
同様に低い水準といわれています。
ここで怖いのが
負のスパイラル
です。
日販が低い
↓
良い立地に出店できない
↓
売上が伸びない
↓
加盟店が増えない
↓
規模が拡大しない
この構造に入ると
簡単には抜け出せません。
それでも事業を続ける理由
興味深いのはここです。
山崎製パンの営業利益は
600億円超。
つまり
会社としては絶好調。
デイリーヤマザキは
会社の柱ではありません。
それでも売却の可能性は低いとされています。
理由はシンプルです。
コンビニ大手3社は
山崎製パンの重要な取引先だから。
もし1200店舗を
特定の1社に売却したらどうなるか。
その会社の勢力が一気に強くなり
他2社との関係が崩れる。
つまりこれは
事業単体の問題ではなく
サプライチェーン全体の問題なのです。
財務視点で見ると重要なのはここ
このニュースで個人的に面白いと思ったのは
店舗数は減っているのに
売上は伸びている
という点です。
これは何を意味するか。
スリム化経営
です。
・赤字店舗の整理
・直営店化
・商品強化
つまり
量ではなく質へ
戦略が変わっています。
これは多くの企業に共通する
重要なテーマです。
経営は「拡大」だけではない
経営というと
・出店
・売上拡大
・シェア拡大
こういった話ばかり注目されます。
しかし実際の経営で重要なのは
縮小の判断
です。
・どこを残すか
・どこを切るか
・どこに集中するか
この判断を間違えると
企業は簡単に崩れます。
財務は「経営の地図」
経営判断をするときに必要なのは
感覚ではなく数字
です。
例えば
・店舗別利益
・日販
・立地別収益
・投資回収
こういった数字を
正確に見られるかどうか。
これが
事業の生死を分けます。
財務は単なる経理ではありません。
経営の地図
です。
まとめ
デイリーヤマザキの苦戦は
単なるコンビニの話ではありません。
そこから見えるのは
・自由と統制
・チェーン経営の難しさ
・規模と収益の関係
・事業のスリム化
という経営の本質です。
そして最後に重要なのは
企業は必ずしも
大きくなる必要はない
ということ。
残すべきものを残し
不要なものを削る。
それもまた
立派な経営戦略です。
■ レスキュル株式会社
経営・財務を軸に、
中小企業や成長企業の伴走支援を行っています。
数字だけを見るのではなく、
「人が育ち、組織が続く仕組みづくり」を大切にしています。
領域:経営/財務/事業/EC
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