2025年、飲食業界のM&A件数が117件と過去最多を更新した。
これは前年から37.6%増であり、調査開始(2000年)以降、初めて100件を超えた数字だという。
一見すると「景気が良い」「投資マネーが戻ってきた」という明るいニュースにも見える。
だが、経営の現場を見ている立場からすると、これはブームではなく、構造的な再編フェーズに入ったサインだと感じている。
「勝っている会社」と「限界が見えている会社」がはっきり分かれ始めた
今回のM&Aをタイプ別に見ると、特徴がはっきりしている。
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戦略的売却型:51件
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事業承継型:47件
つまり、「攻めて選択と集中をする会社」と
「続けたくても続けられない会社」が、ほぼ同じ数だけ存在しているということだ。
インバウンド需要の回復、コロナ後の客足回復で、
強い企業は一気に攻めに転じられる環境になった。
一方で、原材料費・人件費・家賃の上昇は、
体力の弱い事業者にとっては致命傷になりつつある。
ここで重要なのは、
「売上が戻っている=経営が安定している」では決してないという点だ。
大型案件が示す「資本の論理」
象徴的なのが、
米ゴールドマン・サックスによるバーガーキング日本事業の買収(推定約700億円)。
さらに、外食大手DDグループのMBO(約310億円)も発表された。
これらに共通するのは、
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規模
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ブランド
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そして資本の論理で動ける体制
飲食業は「現場ビジネス」に見えがちだが、
この数年で完全に資本集約型ビジネスへと性質が変わってきている。
個人の頑張りや現場力だけでは、
原価高・賃上げ・投資競争に耐えられなくなっているのが現実だ。
いまM&Aを考えるべきなのは「調子が悪い会社」ではない
ここで一つ、強く伝えたいことがある。
M&Aを考えるべきなのは、
「もうダメになってから」では遅い。
むしろ、
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まだ利益が出ている
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店舗は回っている
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ただ、この先の5年が見えない
こういう会社ほど、
選択肢としてM&Aを冷静に検討すべきタイミングに来ている。
特に2027年以降は、
高額な譲渡益に対する税負担(ミニマムタックス強化)も控えている。
「いつか売れたらいい」ではなく、
“売れるうちに、どう動くか”
これが、これからの経営判断になる。
飲食業界に起きているのは「撤退戦」ではない
今回のM&A増加を、
「飲食業界は厳しい」「撤退が増えている」と捉えるのは、少し違う。
実態は、
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勝ち筋が見えた企業は、さらに拡大
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続けること自体が目的になっていた事業は、整理
という健全な再編が進んでいるだけだ。
言い換えれば、
“やり方を変えない会社が、残れなくなった”
それだけの話とも言える。
経営者にとって、いま一番リスクなのは「何も考えないこと」
飲食業界のM&A急増は、
「誰かの失敗談」ではなく、
すべての経営者に突きつけられた現実だ。
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この事業は、5年後も続ける前提でいいのか
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継ぐのか、伸ばすのか、手放すのか
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その判断を、いつ・誰が・どんな数字で下すのか
これを考えないことが、
いま最も大きな経営リスクになっている。
■ レスキュル株式会社
経営・財務を軸に、
中小企業や成長企業の伴走支援を行っています。
数字だけを見るのではなく、
「人が育ち、組織が続く仕組みづくり」を大切にしています。
領域:経営/財務/事業/EC
■ ATELIER SAZANCA(アトリエサザンカ)
「時間を大切にする」という想いから生まれた、
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