第14話 「引当金ってなあに?」 | 日刊工業新聞ビジネスリーダーズアカデミーのブログ

第14話 「引当金ってなあに?」

こんにちは
NBLA講師のホリコンこと堀内智彦です。

架空企業体「大阪府株式会社」の固定負債の部を見てみます。


「固定負債」
(1)負債      4,069,752
(2)債務負担行為          0
(3)退職給与引当金   935,046
(4)他会計借入金     13,166
     固定負債計 5,017,964(5兆179億円!)


(1)府債については、以前お話しました。翌年度に償還(精算)予定の分は短期という意味で、「流動負債」として区分計上されています。つまりここに上がっている分は翌年度を超えた部分の金額ということでしょうね。


さて、(3)退職給与引当金とはなんでしょうか?


「引当金」という概念は、将来発生する債務とか、リスクを考慮してあらかじめ「引き当てておく=債務として認識しておく」ということです。


売掛金(債権)もそうですね。ある会社への売掛金があり、どうもその売掛金が全額回収できないかもしれない?といったときに、リスクを見積もって、そのリスク部分を「貸倒引当金」として、表現方法はいくつかありますが、そのリスク分を債権額をから控除することによって、費用(損失)として認識するということです。


無事回収されれば、その引当(損失)はその時点で、取り消され、損失を打ち消すために特別利益とかいう形で、相殺するのですね!


さて、退職給与引当金は、退職金の規程(きまり)があり、現在在職中の方が、今年度末に自己都合で退職した場合に支給される金額を予算化したものです。


つまり、毎年の既得権として、退職金分を人件費としてあらかじめ費用に計上して、債務として将来の支払のために累積して計上された残高が、「退職給与引当金」です。


本当にすごい!民間では「退職給与引当金」は認められません。


かつてはありましたが税法の改正により、損金扱いできないのです。これによって、民間企業は「簿外負債」という大きな問題を抱えることになります。


「国税を斬る!」は筆者も怖いので一応この程度でやめておきます(笑)。


ということで、この退職給与引当金の水準とか、計上基準が妥当か?という判断はこのブログの本来の趣旨ではないのですが、ここで注目すべきことは、この「退職給与引当金」は債務ではあるが、今日明日(全額)支払をする必要のない金額なのです。


実際問題、通常の経営状態なら、社員が一斉に年度末に自己都合退職するわけありませんから、大過なく定年を迎えた人や、家庭の事情で辞めるなどの割合はある程度推定できます。


このことが、「大阪府株式会社」が倒産しないもう一つの理由です。これは「損益計算書」からのキャッシュフロー分析でもお話したことですが、債務であっても即座に支払が必要ないのです。


ここで一言!社員(職員)の皆さんも真剣に考えるべきでしょう。


巨額の赤字を抱えた企業体が、どんなに「退職給与」を計算上確保しても、企業が経営破たんしたり、キャッシュフローがない状態では、法律上は守られたにしても、実際には支払いが保証されないケースが多いです。やはり「自転車操業化」している可能性があります。


実際倒産している企業で、退職金がきちんと払われるケースはほとんどないでしょう。


これでは困るので、外部拠出として、中退共のような外部組織に企業が積立をすることによって、会社がつぶれても、第三者の機関が積立分を権利保全して、社員本人に支払う仕組みというのがあるわけですね。


年金問題もしかり、年金財源をダムの水に例えていえば、むかしは、放水量(支給額)=<流入量(保険料+運用利息分)だったものが、逆転してしまい、放水量を減らしたり、先延ばししたり支出を抑えても、流入量の減少がそれを上回り、ダムの湖底が見え隠れするという非常事態なんですよね。


それに社会保険庁の不適切行為により、余計に混乱しています!


結局社会不安をあおる大きな原因になっています。真面目に深刻な非常事態です。「年金問題」について書くとまた100ページになるし、沢山の有識者の方々も指摘されているので、筆者この程度にしておきます。