01309 |   夜明け前。

01309






昔の僕は、物凄く破天荒だったような気がする。もっともっと、何かに自信があって、誰かを振り回してばっかりいたような気もする。いつだって中心に立って無茶な事もやってきたような気がする。今よりも、ずっと若い頃の僕。だけど、そんなに遠くない過去の僕。世間知らずで、マイペースで、好きな事にしか興味ない子供だった自分を、想い出させてくれたのは、今朝見た夢だった。また、あの夢。僕が何かを失った、いや、大人になるきっかけをくれた出来事の、夢だ。大雨のせいで、空は暗く、じっとりした空気に包まれて、想い出したくない想い出の夢を見て憂鬱な気分で始まった火曜日だった。昨夜が、あまりにも素敵過ぎたから、一気に奈落の底に落されたような気分になりながら朝の珈琲をあえて濃く作った。











午前中の雨が嘘のように過ぎ去った後、僕は朝と全く違った気分になってた。空の、おかげなんかじゃ、ない。太陽のおかげでも、きっとない。何のおかげかはわからないけれど、なんだか至って普通に過ごせたんだ。仕事の合間にかけた友人への電話。特に何かあったわけでもないのだけれど、煙草を吸ってたら聴きたくなって、話す事もないので、すぐに切った。仕事が終わって、話をしたい相手に電話したのだけれど、そういう人って繋がらない。こんなもんだよな、って笑いながらケイタイ電話を、鞄にしまって、僕は空を見上げた。もうすっかり、日が暮れて暗くなった空を。



若かりし頃の自分と今の自分。どっちの僕も僕なのだけど、なんだか別人になったような気がするのは、気のせいなのかな。いや、気のせいじゃ、ないかもしれない。だけど、そんなのどうでも良くて。だけど、それは大事な事のようにも、想える。あの頃の僕を知ってる人に、会いたくなる。今の僕を知らない人。そして、僕がどう変わったか、言って欲しいような気もする。大人気ない気もするけれど、僕には大事な事のように想うんだ。自分じゃ見えない自分がいる。自分しか知らない自分がいるように。君にも、きっと同じような想い、あるんじゃないかなって想ったら、僕の知らない頃の君に、なんだか嫉妬をしてしまう。そして、君の知らない僕に、君が嫉妬してる姿を少しだけ見てみたいって想うんだ。





淹れたての珈琲の匂いが、する。今夜は、いつもの夜だ。そう、いつもと変わらない夜。特に何も変わり映えのない夜を、僕は過ごしています。