古巣の三菱UFJ本社前で感極まった

果たして2強の女性を脅かせるのか

 

選挙カーを降りて聴衆とハイタッチっを交わす

 

 石丸伸二さんは、都知事選の選挙戦の間、都内にマンスリーマンションを借りて独り暮らしをしているそうだ。毎日30度を超える暑さの中、頭上を覆うもののない炎天下での行脚が続く。おそらく汗びっしょり、一日の間に何度か着替えも必要に違いない。いったい選択はどうしているのだろう、そんなことを気にしながら上野駅公園口での街頭演説の様子を見ていた。

 

 ただ、石丸さんの場合は選挙演説とはいっても、手を振り回し、髪を振り乱して決まり文句を絶叫するようなスタイルではない。YouTubeなどで見ると端正な居住まいを変えず、冷静な様子で、ただしここぞというときはピシャリと厳しい言葉を繰り出す。

 

 選挙カーの上での演説でも、それはと変わらない。話の組み立て方なども大向こう受けを狙う内容ではなく、むしろ実直に自分の経験、考えを聴衆に話しかけていた。

 

 それをもって選挙慣れしていない、迫力不足という見方ができなくはない。しかしそんなやり方も含めて、従来型の選挙に大衆が辟易していることも間違いない。それも含めての第三の受け皿としてのこの都知事選における存在価値ではないか、そう感じながら見入っていた。

 

有力候補に劣らない集客力を見せている

 

 その石丸さんが押し寄せる感情に思わず涙を溢れさせたシーンがあった。

6月24日の都内周りの途中、彼の古巣である三菱UFJ銀行の丸の内にある本社前での映像だ。

 

 選挙カーの助手席に座った石丸さんが、本社ビルに向かってマイクから語りかける。

 「ありがとうございました。ナイス銀行。もし自分に金融マンとしての経験、銀行でのキャリアがなかったら、4年前、安芸高田市に戻って市長になるなんて絶対にできなかった。本当に感謝しかありません。ありがとうございました」

 そう言いながら声を詰まらせ、顔を覆ったのだ。

 百万の言葉でも表せない石丸さんの人柄がストレートに伝わってきて、スマホを手に思わずもらい泣きをした。

 

 日々、刻々と変わる選挙戦の情勢報道によると、三番手として石丸さんの支持は着実に広がってきている。かといって2強に位置づけられる女性候補に割って入るレベルにはまだまだ届かない。

 

 汗をかきかき、最も精力的に都内を回りながら、刻々と過ぎていく時間が恨めしいのではないだろうか。爪痕を残すための戦いは残り10日ばかり。