設計ジャック・ニクラウスのコースのこだわり

山麓の地形を生かした「関西風」レイアウト

 

落ち着いた雰囲気の清川CCクラブハウス

 

 神奈川県の清川カントリークラブにゴルフバッグを送る段になり、宅配便の伝票に宛先を記入しようとして「清川村」という住所に少し驚いた。プレーの朝、新横浜駅のホテルに車で迎えに来てくれる同窓会の先輩からは「1時間はかからないから」と言われていた。

 あらためてスマホに地図を出して確認しようとしたが、なにしろ土地勘ゼロのエリアなので、どこを通ってどうコースに向かうのかも見当がつかない。

 

 余談になるがもうひとつ驚いたのは宅配便の配送料の高くなっていること。神戸から神奈川県のコースまで、往復便でほぼ5千円かかる。ひと昔前の倍ほどの値段になっている感覚だ。

 

 平日だったが、午前6時過ぎという時間帯だったので、一般道、高速道とも渋滞に遭うことはなく、1時間足らずでコースに到着した。

 

 神奈川県は面積だけみれば47都道府県中43番目という小さな県だが、ゴルフ場は52コースもある。その中で1985年開場の清川CCは、最も新しいコースということになる。

 

 清川CCの成り立ちにはいわくがある。神奈川県では狭い県土の中でゴルフ場が占める割合が増え続けることに危機感を覚え、1973年には自然保護のためにゴルフ場の新設を認めないという条例を作った。

 

 その後、清川村に宮ケ瀬ダムが建設されることになり、それに合わせて地元振興策の一環として1983年に特例的にゴルフ場新設が認められた。そこで造られたのが清川CCというわけだ。

 

インコース最高地点から。遥か奥に大山が見える

 

 コースが位置するのは丹沢山地の東端の山懐。コースのはるか南西方向には、江戸時代から庶民に愛されてきた大山(おおやま、1252㍍)を望む。

 

 日頃ラウンドすることの多い兵庫県は全国でも三本の指に入るゴルフコース数を誇るが、地形的に起伏を利用したコースが多い。関東地方は平野部が広く、ゴルフコースも平坦で林によってホールを仕切ったレイアウトのところが多い印象があったが、そういう意味では清川CCのロケーションの第一印象は「関西風」だった。

 

 コースの新設が決まったとき、設計を任されたのは、当時世界トップランクのプロゴルファーだったジャック・ニクラウス。もうひとつ特徴的なのはグリーンにはすべて「007」と呼ばれる世界最高ランクのクリーピングベント芝を採用していることだという。

 259カ所目となるコースでのスタート前、期待はいやがうえにも高まった。