アメフットを通じて地域に貢献を

頼もしい60人の強者たち

 

六甲山に抱かれた神戸・王子スタジアム

 

 久しぶりにアメリカンフットボールの試合を観た。

デイリースポーツの現場記者だった時代、大学チャンピオンを決める甲子園ボウルの取材で観戦して以来なので、30数年ぶりということになる。

 

 動機は神戸市スポーツ協会の仕事で、2009年から神戸市を拠点に活動しているエレコム神戸ファイニーズの激励が目的だった。

 相手は今季から積水化学工業がメーンスポンサーになったSEKISUIチャレンジャーズ(本拠・尼崎市)。ともにXリーグのトップ、全国12チームで構成されるX1superに名を連ねる。試合会場は神戸市にある王子スタジアムだ。

 

 試合開始直前、グランドに足を入れさせてもらい、自陣のゴール前に全員集合したチームの前で激励の挨拶をした。

 

アメフットの選手数の多さは圧巻

 

 あらためてアメリカンフットボールというスポーツの特性を実感した。試合自体は15人ずつのチームで行われるが、守備と攻撃で選手がほとんど入れ替わるためとにかくチームの選手数が他のスポーツに比べるとケタ違いに多い。

 

 60人近いユニホーム姿の鍛え上げた肉体に包み込まれ、もちろんマイクはなし。気合を入れて声を張り上げないことには、試合前の邪魔ものになってしまうだけだ。

 

 さらにその緊張に輪をかけたのは、間もなくキックオフということで、テンションをマックスに引き上げた選手の目つき、顔つきの圧倒的な迫力。最初に「こんにちは」と頭を下げた時に返って来た「ウォーッ!!」(としか聞こえなかった)という叫び声には体が吹き飛ばされるような勢いがあった。

 

 球技というジャンルでひとくくりにされるスポーツは数多いが、体と体をぶつけあう格闘技的な要素の強いアメリカンフットボールやラグビーの試合前の選手のテンションはたとえば野球などとは別種のものだと痛感する。

 

応援を盛り上げるチアの存在も大切

 

 エレコム神戸はポリシーのトップにスポーツ文化振興を通しての地域貢献を掲げており、様々なイベントを通じての地域交流にとても熱心だ。3月には神戸市スポーツ協会が制定する「スポーツ振興賞」を贈ったところ。日常的にコラボすることも多い。

 

 選手は全員それぞれの職業を持っており、土日に集まって練習をするというスタイルのチーム。その合間を縫ってのスポーツ文化振興への協力には頭が下がる。

 

 両チームにとって今季最後となった試合はSEKISUIチャレンジャーズがエレコム神戸ファイニーズを28-21で下した。

 試合後はメーンスタンドの前に選手全員が整列して頭を下げた後、主将がマイクを握り一年間の声援への感謝と、8月末には開幕する秋冬のシーズンへの決意を語った。これまた見事な大音声。頼もしい地域のパートナーだ。