旅の最後に待っていた洗礼

3日間満喫果たしていくら

 

国宝指定の松本城天守を望む

 

 2泊3日の長野・群馬旅行の最終目的地は信州まつもと空港でのレンタカー返却の都合もあって松本城に設定してあった。

 戸隠神社中社近くで戸隠そばのランチを済ませると、山道を下って長野市内へ戻り、高速道路で松本を目指した。築城は520年前の1504年、1590年から1600年ごろに天守が築かれたとされ、それが現存、国宝に指定されている。

 天守が国宝となっているのはこの松本城の他に、姫路城、犬山城、彦根城、松江城の合わせて5カ所しかない。

 GW前の平日の午後、堀を渡ると半数以上はインバウンドを思われる観光客でにぎわっていた。天守に登るため、靴を脱ぐエリアに着くと、入場を制限するガードマンが立っており、短い行列ができていた。

 中に入っても狭くて急な階段を対面で上り下りする場所が多く、各所に係員が立っていて交通整理をしないことには各所で渋滞が発生しそうな混み具合いだ。とにかく最初から最後まで人の列が途絶えることがない。その列を外れて展示物や天守内部の造りを鑑賞するのも気が引け、国会の牛歩戦術よろしく、前の外国人に続いて一歩、また一歩。階段を一段、また一段。

 30分ほどかけて天守の最上層に登り、また降りて来る。それだけの時間だったような印象が拭えない。残念ながら国宝鑑賞の余韻も何もあったものではなかった。思えばスタートの上高地から善光寺、軽井沢、白糸の滝、草津温泉…こんな場所にまでと思えるほど、いたる所に外国人があふれていた。

 騒ぐわけでもなく、マナーに反する行為があるわけでもなく、後ろから歩いて来る人にはお構いなしで写真を撮りまくることを除けば、みな行儀よく異国情緒に浸っている。ただそれぞれのスポット、施設のスケールに対して、人が多くなり過ぎている場所も少なからずあった。今後、中国人の来日が本格的に回復してくるといったいどうなるのだろう、と心配にならざるを得ない。

 松本城を後に、車で20分ほどの空港を目指した。フジ・ドリーム・エアラインズの神戸便は午後6時半の出発。空港のレストランで待ち時間を潰しながら、テーブルに領収書を広げて今回の旅行の精算をした。神戸空港で集めた参加費は1人10万円。数々の観光地と温泉旅館での2泊を満喫した結果、10円玉が数枚残った。