湯浴みショーに50人の行列

宿には23もの入浴施設が

 

草津温泉のランドマーク、湯畑の風景

 

 草津節を奏でる道路を通り過ぎると、温泉エリアまではすぐ。まずは荷物を置きに予約の温泉旅館に車を向けた。「共立リゾート木の葉」という中型の和風旅館で予約の決め手となったのは館内に23種の入浴施設があるという触れ込みだった。

 その前に宿泊客用のシャトルバスで、有名な草津温泉の看板スポット、「湯畑(ゆばたけ)」に向かった。湯畑自体は湯の花を採取したり、湯の温度を調整したりする目的であちこちの温泉にある一般的な施設だが、日本三名泉のひとつ、草津温泉のそれは、スケールの大きさや周辺の宿泊施設などと調和した風景でランドマークとして知られている。

強酸性の現繊維投げ込まれた小銭は色、形とも原形をとどめない

 

 バスを降り、湯畑に近づくと強烈な硫黄臭が鼻をつく。源泉のPH値は2.1といういわゆる強酸性の泉質だ。あたりはインバウンドを中心にした観光客でにぎわっていた。さすが数ある日本の温泉地でも有数の勝ち組だけのことはある。特に50人ほどの行列が入口にできていたのが「熱乃湯(ねつのゆ)」のレトロ調の建物だった。

 湯畑と並ぶ草津温泉の名物といえば着物姿の女性が湯舟の周りに並び、50℃を超える源泉の音頭を下げるために長い板の先を湯の中に差し込んでかき回す「湯もみ」のパフォーマンス。それは湯もみショー見物の入場待ちをする行列だった。

 何もかもが、前日のひっそりと静まり返った戸倉上山田の温泉街とは別世界の光景だ。ただ、日本中の温泉地でむしろ草津のこのにぎわいこそ少数派なのかもしれない。

23の入浴施設を誇る共立リゾート木の葉の玄関

 

 迎えのシャトルバスに乗って宿に戻った。まずは夕食までの時間に23種あるという入浴施設の一端を味あわなければならない。

 案内の館内図を見ると、貸し切りの露天風呂が三つ。よくある予約制ではなく、空いていれば自由に貸し切り利用ができる。大浴場は男女2カ所ずつ。未明には男湯と女湯が入れ替えられるので、入浴の時間帯を変えればすべての風呂を網羅することができる。

 大浴場には露天風呂、泉質、温度の違う内湯、水風呂、焼き物の甕にひとりで浸かる桶湯がいくつか。スチームサウナに岩盤浴…と短時間ではとても回り切れないほどの風呂が揃っていた。

 東京を起点にすると、草津へは新幹線~バス、在来線~バス、高速バス、車、どのアクセス手段を使ってもおおよそ3~4時間が必要のようだ。決して足場のよい…とは謳えないロケーションだが、それでも群れをなして観光客が詰めかける。

 その様子を目の当たりにし、豊かな湯に身を浸して、いずれも草津温泉初体験のグループ5人、「くさ~つ、よいとこ、いちどはおいで~」を存分に納得した。