岡山・高梁のこだわり酒蔵

米の違いによる味わいの差は

 

 

 3月末にアップした「持つべきものは酒友なり」で、岡山県倉敷市に住む友人から、十八盛酒造の人気酒「多賀治」が2本送られてきた話を紹介した。

 その少し前、岡山で同じ十八盛酒造の「青螺姫(せいらひめ)」というロマンチックなネーミングの銘柄を賞味したことをこのブログで紹介したところ、「十八盛で私が好きなのは『多賀治』です」というメッセージとともに、お試しあれ、と言わんばかりにお薦め2本を届けてくれたのだ。

 いただいての印象をLINEのメッセージで届けてから数日、またその友人から宅配便が届いた。

 驚いて箱を開けると、出て来たのは彼の故郷の岡山県高梁市成羽(なりわ)町の酒蔵「白菊酒造」の看板銘柄「大典白菊」2本。「純米吟醸岡山雄町55」と「純米吟醸岡山朝日米55」、いずれも「直汲み無濾過生原酒」という同じ造り方のもの。早速お礼の連絡を入れると「雄町米と朝日米の違い、飲み比べてみてください」と宿題のようなメッセージが返ってきた。

 そもそも、この白菊酒造は100%岡山県産の原料米を使い、一帯の石灰岩地帯を沁み通ってくる地下水を自前の井戸から汲み上げて酒を造るというポリシーにこだわる酒蔵だ。

 雄町米といのは岡山県発祥の酒米で、現在でも全国の産量の90%が岡山県で生産される。一方の朝日米は、いわゆる酒米ではない。一般の食用米としても利用されている米で、白菊酒造ではそれを使っての酒造りを昔から続けている。

 さて、宿題を与えられた立場としては、まずどちらを開けて…という飲み方は置いておいて、とにかく飲み比べをしないことには答えを出せない。

 というわけで、お猪口をふたつ用意し、両方のボトルの栓を開けた。どちらも軽くポンという音がして、発泡性の飲み口を想像させた。

 まず朝日米の方から口に含む、かすかな発泡感、広がる甘みは思いのほか強い。雄町米の方も軽い発泡感は同じで、最初に感じた甘みは朝日米のものに比べるとわずかに控えめ、さらに飲み下す段になるとそれも姿を消して喉を下っていく。料理に合わせるとなると、雄町米の方が癖なくこなせるかもしれない。

 それ以降も数日、同じように2本のボトルを並べ、ふたつのお猪口を交互に口に運びながら、岡山からの厚意を飲み干した。

 次はお返しに宿題を出す番になることとし、神戸の日本酒酒場を予約してある。