バッグ取違えで泣き寝入り

証拠写真はあるものの…

 

 このブログでも紹介した阪神タイガース由来の懇親会、バーボン会の月例ゴルフ会があった。

 スタートの時間を待っていると、つい数日前にも一緒にプレーしたばかりのゴルフ仲間が近づいて来て「先日、沼田さんが帰った後でエラいことがありまして…」という。

 「え、エラいこと?何があったの」

 「いやあ、サブバッグを他人に持っていかれたんです」

 サブバッグというのは、プレー中にカートに積む大きなキャディバッグとは別に、クラブを数本入れて自ら持ち歩くためのスリムなバッグのこと。多くのゴルファーが愛用している。

多くのゴルフ場がメーンのバッグはスタッフが車からの積み下ろし、乗用カートへの積み下ろしをやってくれるが、このサブバッグに関しては自分で車→カート→車と持ち運びするシステムになっている。

 その日もプレーが終わり、クラブをメーンバッグに戻して空になったサブバッグを持ち、フロントの精算機で支払いを済ませて振り返ると、近くに立てかけておいたサブバッグが見当たらない。

 立てかけるときに、何本か同様のサブバッグが並んでいたので間違って持っていかれたのかもしれない、と思ってフロントに報告した。

 するとさすがはいまどきのゴルフ場、すぐに精算機のところに取り付けてある監視カメラの画像を再現して確認してくれた。

画像には、彼のバッグを取り上げてそのまま持ち去る男性の姿がハッキリと写っていた。スタッフによると、人物も特定でき、連絡先もわかるという。

ところがゴルフ場の関与はここまで。本人への連絡、その後の交渉は当事者でお願いします、と下駄を預けられてしまった。

そうなると考えこんでしまう。おそらく悪気があったわけではなく、よく似た色合いのバッグを間違えて持ち帰ったのに違いはない。ただ直接電話をかけ、話をするとなると、思わぬもめ事に発展する可能性も小さくはないように思えた。

何より、間違って持ち帰ったのならそこに本人のバッグが残っているはずなのに、それが見当たらないのが心に引っ掛かり、そのゴルフ仲間は結局そのバッグをあきらめることにしたというのだ。

「持って行かれたのは、どこにもあるようなデザイン、色合いのものだったんです。こんな思いを繰り返すのは嫌なので、絶対誰も持っていないようなバッグを買ってきました」

自慢げに見せられた新調のバッグは、なんと白地に唐草模様があしらわれている。確かにふたつとないバッグのようには見えた。