470年の歴史が醸す味様々
山は富士、ビールは白雪?
ゴールドエール(左)、スノーブランシュ
飲み放題で日本酒を楽しむ日が続いていたところへ、クラフトビール飲み放題という設定の飲み会が入ってきた。
場所は兵庫県伊丹市。古くから酒造が盛んな土地で、清酒「白雪」で知られる小西酒造の創業は1550年。なんと470年を超える老舗の酒蔵だ。
私の母校である岡山県立高梁高等学校の同窓会の打ち合わせが伊丹市であり、終了後、打ち上げにその「白雪」の「ブルワリーレストラン長寿蔵」へ繰り出した。
かつて日本酒の酒蔵だった大きな建物を改装して、当時の面影を色濃く残しながらレストランとして営業している。
飲み物のメニューで目を引いたのは自家製のクラフトビール各種。
まず乾杯はドイツでビールの女王と呼ばれる「ヴァルシュタイナー・プレミアム・ピルスナー」から。それを皮切りに、4種類用意されたクラフトビールを順に注文していった。
幸民麦酒(左)、ブラックエール
・ゴールドエール(日本酒酵母と酒米山田錦を使ったフルーティーな香りが特徴)
・スノーブロンシュ(世界各地での受賞実績を誇る。コリアンダーとオレンジピールの酸味と香りが特徴)
・幸民麦酒(幕末のビール復刻版。日本の化学者の祖といわれる川本幸民が作ったビールを忠実に再現した)
・ブラックエール(5種類の麦芽をブレンド。カラメルの香りとビスケットの風味が漂う)
どのビールにも共通しているのは、風味の癖は押さえ気味で、飲みやすく仕上げてある点だった。
料理はコースで運ばれてきた。鴨肉、ムール貝、タラ、サーモンなどの素材が凝った味付けで調理されていて、こだわるのであればその料理に最もフィットする種類のビール、という選び方もできる。
話に花を咲かせていると、目の前を着物にちょんまげ姿の若い力士が通って行く。その前を歩いているのは、人気力士だった元琴奨菊の秀ノ山親方(佐渡ケ嶽部屋)。こちらはスーツにネクタイ姿。タニマチ招待の宴席に違いない。
大阪場所も優勝争いたけなわの時期。滅多に見られないお相撲さんのナマ姿に、歴史ある酒蔵がどよめいた一瞬だった。