メダル酒「雨降」を初賞味

5銘柄、2合半の昼飲み満喫

「天美」純米吟醸生原酒(長州酒造=山口県下関市)=左、

「森嶋」純米大吟醸生原酒彗星(森嶋酒造=茨城県日立市)

 

 岡山を訪ねた時は必ず足を向ける日本酒バル「解放区」は岡山駅前から県庁に向かう「県庁通り」沿いにある店。若い夫婦がふたりで切り盛りする。料理はご主人、接客は女将と役割は決まっていて、ひとりでブラリ訪れる日本酒好きが多い。平日、土日とも開店は午後2時。昼飲みにもうってつけだ。

 日本酒、料理ともメニューは毎日、女将の手書きで書き換えられる。全国から選りすぐった銘柄は冷や、燗それぞれ10種以上は常に揃えてある。

 食べ物にもこだわっていて、海のものは岡山県南部の瀬戸内海沿いにある牛窓漁港のもの。野菜類はこれも県内の赤磐市にある「かしら農園」から取り寄せる。

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 3月初めに訪ね、新体制下で蔵出しされたニュー「天美」で迎えられたのを皮切りに、すべて冷やで五つの銘柄を楽しんだ。

「東長」純米(瀬頭酒造=佐賀県嬉野市)

「七笑(ななわらい)」純米吟醸無濾過生原酒(七笑酒造=長野県木曽町)

 

 「解放区」の日本酒はワンオーダーが半合(90ml)。色々な銘柄を口にするには、ワンオーダー1合では後々荷が重い。

 つきだしはミニトマトのキッシュがひと切れ。定番のポテトサラダを頼んでおいてから、牛窓漁港発の魚を選びにかかった。

 目についたのはボラの刺身に醤油をからめたものと、チヌの刺身を海苔の佃煮で和えたもの、それにアジのなめろうを加えた。こだわりの陶器の器に一人前が小さく盛られて供される。

「雨降(あふり)」純米山廃仕込(吉川酒造=神奈川県伊勢原市)

 

 名前を見るのも初めてだった「雨降(あふり)」という神奈川県伊勢原市の酒が気になった。ボトルにはオリンピックのメダルをデザインしたようなシールが貼られている。「KURA MASTER 2023」とプリントされている。

 フランスで毎年開催されている日本酒の品評会のいくつかある部門のひとつでプラチナ賞に輝いた銘柄なのだそうだ。

 「天美」で幕を開けて「雨降」で締めて。本日も極上の昼飲みなり。