先日投稿した御燈祭りが行われるのは和歌山県新宮市にある神倉神社。私が住む神戸市からだと、鉄道で神戸から大阪を経由し、JR紀勢本線で和歌山から紀伊半島の西側をぐるっと回るルートか、車で和歌山県田辺市まで下り、そこから東に向けて山を越えるルートか、どちらかが一般的な選択肢だと思う。

 ただ、御燈祭りが行われる2月6日に向け、今回は3日に名古屋に入った。回り道を選んだのにはもちろん理由がある。

 昨年11月、高校の同窓会で岡山に帰ったときのこと。高校時代、親しかった友人とおよそ45年ぶりに再会した。短い時間だったが酒を酌み交わしながら昔話に花を咲かせる中で、時間が足りないから近いうちに飲み直そう、という話になった。

 聞けば彼の住まいは名古屋近郊の住宅街だという。そこでひらめいたのが2月6日の新宮行きだった。彼にその話をし、それに合わせて名古屋に立ち寄り、そこから紀伊半島の東側を通るルートで新宮入りすることにした。

 もうひとり共通の友人を誘って週末に名古屋あたりで存分に飲み、お互いの趣味であることがわかったゴルフもやろう、と話は即決した。

 コースは彼がメンバーになっている日本ラインゴルフ倶楽部(岐阜県可児市)を予約しておくとのこと。過去、日本オープン、日本プロといったメジャー大会が開催された有名なコースだ。

 会社生活を卒業して、ゴルフに行く機会は少し減ったが、昨年の手帳を繰り戻してみると44回ラウンドしていた。月に4回弱のペース。兵庫県外でのプレーとなると10回に満たない。その友人に聞くと大体週イチペースでコースに出ているという。ちょうどいい相手になれそうだった。

 彼の自宅近くのホテルに泊まり、朝は車でホテルまで迎えに来てもらった。コースまではおよそ40分。着いてみると36ホールのコースで、駐車場もクラブハウスも規模が大きい。日曜日とあって、フロントも混雑していた。

 事前の天気予報では数日前まで雨予報だったのが、空は雲ひとつなく晴れ渡り、防寒の上着も必要ない最高のゴルフ日和だ。スタートエリアに出てみると、その澄み切った青空のはるか彼方にくっきりと真っ白に雪化粧した雄大な山の姿が目に入り、その迫力、美しさに思わず息を飲んだ。

 「あの山は?」 コースのスタッフに尋ねると「御嶽山です」と教えてくれた。

 途中にさえぎる山もなく、標高3067㍍の霊峰の全貌が手に取るように見える。確認すると、コースから御嶽山まで、直線距離にすると70㌔ほど。それだけの距離を置いてなお、感じさせるこの迫力。ただ圧倒され、しばらく見入っていた。

 兵庫県といえば全国でも一、二のコース数を誇るが、さすがにこれだけの山景色が望めるところはない。聞けば日本にある標高3000㍍を超える山の中で、最も西に位置するのがこの御嶽山なのだそうだからそれも納得。

 ラウンド中もいくつかのホールから雪の霊峰の姿を楽しみ、旧友とのラウンドと合わせて二重の満足感に浸れた「寄り道ゴルフ」だった。

 町に戻ってからは前夜に続いて夜の部をとことん。

 「今度は神戸で酒とゴルフやな」

 旧交の温まり方はやけどしそうなほどだ。