今回も、又、こちらの記事を読んで感じた事、私のうつ病経験とあわせて書きたいと思います。
抗うつ薬の是非については色々と意見があると思います。薬については、合う人もいれば合わない人もいると思います。
これは、実際に服用経験がある方には分かっていただけるのではないでしょうか?
ただ、これは薬に限ったことではありませんが、何でも、必要以上に大量摂取すれば、問題が発生することは容易に想像がつきます。
抗うつ薬、抗不安薬等の精神疾患の薬は、精神を安定させる系統の薬ですから、当然のように落ち着きを持たせるために、眠気を誘うものが多いです。活力を失わせるものも多いです。
それを継続的に多量に服用したらどうなるでしょうか?いつも眠っているような状態になることは容易に想像いただけると思います。
私の場合も、一番多く抗うつ薬を服用していた時は、いつも眠く、全く活力がありませんでした。
うつ病というのは必ずしも、活力を失わせるものではありません。
服用前、うつ病の初期段階の状態は、「会社に行きたくない。仕事をしたくない。でも気になって眠れない。あせりばかりが増える」というものでした。
調子が悪いからと、休むと、意外と家ではテレビを見たりして、好きに過ごせていたんですね。
ところが、薬の服用量が一番多い時というのは、とにかく何もやる気にならない。テレビも漫画も読む気にならない、何もしたくない、ただ眠いから寝ているだけ。
そんな感じでした。
これは、やはり薬の作用が大きかったのかな?とも私なりに思っています。
うつ病の場合、休養が一番です。しかし中々精神が休養できない人がうつ病になりやすいので、薬で活動量を制限して、無理矢理休ませているといったらわかりやすいでしょうか。
確かに、その考え方は一見合理的とも思います。
しかし、私自身の経験を振り返ってみると、そうとも言えないと思ってしまいます。
無理矢理活動制限させているということは、イコール無気力にさせているという面もあるのです。さて、その状態がずっと続くとどうなるでしょうか?
人間というのは、活動しているからこそ、生きているという実感も伴います。それが無くなり、無気力になった時、生きている実感も乏しくなります。何故生きているのかという自問も始まります。
そういったところから、意外と自殺願望というものも芽生えるのかもしれません。
眠れないというのは人間にとって一番のストレスです。精神的にも一番おかしくなる要因です。なので、最低限の睡眠を確保するためには睡眠薬を服用するのは仕方ないと思います。
しかし、それ以外の、特にセロトニンをコントロールする系統の薬は、できるだけ服用しない方がよいのではないか、と私は思っています。
セロトニンは自律神経をコントロールする物質です。これをコントロールするということは、自律神経の動き自体に大きな影響を与えます。
これによって、かえって体のあちこちに不調が増えていくということも十分に考えられます。
むしろ、生活習慣の改善や行動習慣の改善で徐々に直していく方が、時間はかかっても体には良いような気がします。
精神的な病は完治に時間がかかる病気だと思っています。一生上手に付き合っていかなければいけない病気だと思います。
「うつ病はこころのカゼ」
この言葉は、某製薬会社がパキシルの宣伝文句として考えたという話があります。
私はそうは思いません。そんな簡単な病気では無いと思います。確かに誰でもなる可能性の高い病気です。しかし、この言葉がかえって、誤解を生んでいるような気もします。
すぐに薬で治るのではないか?
簡単に治るのではないか?
私は、薬だけでは治らないと思っています。自身の生活・行動パターンを改善しない限り、仮に一度治っても、再発する可能性は高いと思います。
そして、時間がかかる病だと思っています。
残念ながら、そういったスタンスで治療をしてくれる精神科医、心療内科医というのは少ないのが現状ではないかと思います。
現実問題として、薬を処方したほうが、メンタル相談にのるよりもお金になるのが現状ではないでしょうか?
そして、医者本人の負担は、薬の処方のほうが遥かに少ない。
こういった部分、診療報酬の部分の仕掛けも含めて見直したほうがいいように思っています。
もちろん、薬の服用全てを否定している訳ではありません。効用もあります。
ただ、効果に対して、リスクが大きいのが事実ではないかと私は思っています。
そして、最初に紹介した記事を書かれていた方が言っていたこと、
不幸にも多量服用で亡くなってしまった方、その遺族を貶めることは、あってはならないことだと思います。
多くの方が、思うようにならない自分のこころと体にイラつき、絶望しつつも何とか治りたいと必死になられていると思います。私もそうでした。
一方的に感情論で相手を貶めることは、闘病している方への大きなダメージになります。そのことはぜひ心に留めておいていただきたいです。
ネット時代になり、誰もが発信できる世の中になり、簡単に人の心を傷つけることができる世の中になってしまったような気がします。
ネット以前がそうでなかったわけではありません。村八分、いじめ。ハラスメント。
今と変わらないでしょう。しかし、ネット以前は顔が見えている範囲でのことだったと思います。今は、どこから弾が飛んでくるか分からない時代なのかもしれません。
この便利な道具。使い方によっては人に害悪を及ぼすだけのものに成り下がってしまうかもしれないと考えています。
しかし、同時に上手く使えば新たな価値と可能性をどんどんと生み出すものであると思っています。
それを決めるのは、使っている人間でしょう。
できうれば、多くの方が有益に使われんことを願います。