いきなり、物騒な題名ですが、何も今すぐ「北朝鮮が戦争を起こす」なんてことを言うつもりはありません。

 

何故このテーマについて書こうと思ったか?それは安倍政権が10月の衆議院解散総選挙を行おうとしているからです。

 

安倍政権が10月に総選挙を行おうと考えたのは、今なら有利な状況で選挙ができると考えているからです。

しかし、そこにこの国の将来を本当に憂う気持ちはあるでしょうか?東アジア情勢が近年の中で一番緊張している状態で国政の空白期間を作る必要があるでしょうか?

おそらく、北朝鮮問題については、あまり議論されないでしょう。

しかし、この機会に、どう対応していくかということを考える必要があると考えています。

 

そこで、今回から何度かに分けて、北朝鮮問題についてどう考え、予想し、対応していくか、自分なりの考えを書いていきたいと思います。

 

まず、最初は「朝鮮戦争」が勃発した場合について考えてみたいと思います。

 

 

【第二次朝鮮戦争勃発】

 

現在の状況が続いた場合、北朝鮮が経済制裁に耐え切れず、韓国に対して攻撃を加える形で戦争が始まる形が一番可能性が高いと考えます。

 

①アメリカ本土に到達するICBMとそれに搭載可能な核兵器を北朝鮮が保有する直前であったとしても、アメリカから先制攻撃を行う可能性は低いと考えます。北朝鮮が実際に攻撃を行っている訳ではなく、自衛の手段として兵器を保有しているに過ぎないからです。

この状況でアメリカが先制攻撃をした場合、中国・ロシアは反アメリカの姿勢を堅持し、戦闘行為を止めさせるために、強い圧力と行動を起こすでしょう。

国際社会でも、「アメリカの行動は過剰防衛だ」と非難する声が起こるでしょう。アメリカ国内でも意見が割れるでしょう。

結果、アメリカは悪者となり、北朝鮮は生き延びる可能性があります。

最もアメリカが嫌がるパターンです。アメリカからすれば、最初の一発は北朝鮮に打たせなければならないのです。

 

②北朝鮮は今後もミサイル・核兵器開発を続けるでしょう。それに対抗する一番有効な手段は経済制裁です。次の核実験の後には、石油輸入の制限はもう一段階厳しいものとなるでしょう。(全面禁輸まではいかないでしょうが・・・)

何度かのミサイル・核兵器実験により、石油輸入制限はどんどん厳しくなります。そしてそれが北朝鮮に対してボディーブローとなり、耐え切れなくなった北朝鮮は戦争を決意します。

 

北朝鮮と韓国は休戦状態にあるだけで、国際関係上は、今も戦争状態にあります。

この場合、宣戦布告ではなく、戦闘再開ということになります。

 

こうした状況では、北朝鮮による韓国への奇襲攻撃により、戦争が再開されると考えられます。

 

そうした場合、北朝鮮がどのような攻撃を取るか?普通に考えれば、第一段階では以下のような攻撃を取ると考えられます。

 

①38度線に展開している重砲部隊、短距離ミサイルによる韓国首都ソウルへの攻撃。

 

②同時にソウル・仁川方面への陸軍主力部隊による攻撃。これは戦車部隊を伴う北朝鮮陸軍主力による攻撃になります。

 

③中部鉄原(チョルウォン)方面への陸軍部隊の攻撃。これはソウル攻撃の主力部隊を助ける副攻撃となります。

 

④韓国東海岸の都市への北朝鮮の上陸作戦、及び潜水艦からの攻撃。

 

朝鮮半島の地図を見ればわかりますが、陸軍部隊が行動しやすいのは平地が広がる半島西側です。

北朝鮮陸軍は1950年の朝鮮戦争の時と同じように、ソウル→大田(テジョン)→大邱(テグ)→釜山(プサン)というルートで陸軍主力を進撃させるでしょう。一部部隊は大田から分かれ、南の光州(クァンジュ)を目指すでしょう。

 

この時点で核兵器が使われる可能性は低いでしょう。生物兵器も同様です。化学兵器については可能性が上がります。

又、日本・在日米軍基地への攻撃の可能性も低いでしょう。グアムへの攻撃の可能性も低いでしょう。

 

理由としては、

 

①核兵器は使った時点で、核による報復を受けます。強烈なリターンにより、北朝鮮は壊滅します。又、完全に国際社会から孤立し、中国・ロシアの仲介も望めなくなります。

 

②陸軍を進軍させる場合、進軍先に生物兵器を使用したら、自分達の身が危うくなります。北朝鮮が生物兵器を使用するとしたら、退却戦の場合でしょう。

化学兵器は、効果時間が短く、進撃への影響も少ないことから、使われる可能性はやや高くなります。

 

③緒戦の段階で、いきなり日本を敵国にするような直接攻撃を行う可能性は低いと考えます。敵を増やせば、勝つ見込みが減ります。同様の理由から、日本を敵国としてしまう在日米軍基地への攻撃の可能性も低いです。日本が攻撃されるのは、北朝鮮がかなりの劣勢にたった場合です。

 

④米韓軍事同盟により、アメリカはいずれ介入します。ここでグアムを先制攻撃するかどうか、というのが一番のキーポイントとなりますが、グアムへの攻撃の可能性は低いと考えます。

・アメリカ準州のグアムへの攻撃は、アメリカが頭に血が上る結果となり、緒戦の段階で総力を挙げた反撃を受けることになり、北朝鮮にとって不利。緒戦の段階では、アメリカの国内世論が分かれるような働きかけを行い、海軍・空軍・海兵隊だけの派兵に留めておきたい。

・グアムの米軍基地を通常弾頭で壊滅させるだけの、ピンポイント射撃能力を北朝鮮は持っていない。

 

といったものが挙げられます。

 

では、緒戦の段階で、北朝鮮と韓国の戦いはどうなるでしょうか?

開始一週間で韓国軍が大田付近まで後退することになると考えます。

 

理由としては、

①北朝鮮陸軍は約100万人、韓国陸軍は約50万人と言われています。戦車で言えば、北朝鮮は1960年代のソ連戦車を主力にしています。装備は古いと言われていますが、対する韓国戦車も主力はそれほど新しくありません。

韓国軍予備役300万人と言っても、緒戦の段階で投入できる戦力ではありません。

単純な戦力比較で2:1。それに奇襲と攻撃側の戦力集中を加味すれば、緒戦の段階では4:1程度の戦力差が生まれると考えます。

これはかなり決定的な差になります。

②航空戦力では、韓国側が数量・練度共に優位でしょう。しかしながら、初期段階では数で勝る北朝鮮陸軍を空爆で止めることはできないでしょう。(補給線を断つこと、後方の都市を破壊することはできても、航空戦力で陸上部隊を直接壊滅させるのは難しいからです。かなりの数の爆撃機が必要になりますが、韓国・アメリカ合わせても足りないでしょう。)

③在韓米軍は2万人と言われていますが、この数ではいくら装備が優秀でも北朝鮮軍に数で負けます。南部の拠点を守り、後続部隊の到着を待つことになります。

後続部隊もすぐに到着するわけではありません。一番近いのは沖縄の海兵隊ですが、何十万人もいるわけではありません。アメリカ軍は光州、大邱、釜山付近を防衛し、後続の陸軍部隊の到着を待ちます。それには早くても1か月はかかるでしょう。

④韓国側は首都ソウルを落とされることにより、緒戦の段階でかなり混乱することが予想されます。防衛ラインを築くためにも、大田付近まで戦略的後退を行うことが考えられます。

 

といったものが挙げられます。

 

かなり長くなりましたが、このように考えると、朝鮮半島で戦争が再び起きる場合、北朝鮮から攻撃を開始し、1950年の朝鮮戦争と同じ流れになる可能性が高いと考えられます。

 

但し、今は1950年代と違い、サイバー戦争という要素があります。

 

次回はその点について考えてみたいと思います。