都民でない私にとっては本来あまり関係ない話ではありますが・・・

 

予想通り、百条委員会では大した話も出てきませんでした。まあ、元々都議会が「私たちはしっかり追及しています」というパフォーマンスのために開いた委員会。おのずと結果は知れていると言えます。

 

それよりも、今回気になったこと。9回目の地下水調査の結果です。急に数値が高くなった前回よりも更に高くなっているということ。果たしてポンプを作動させたことが関係あるのでしょうか?

 

もう一度、この移転問題のことの起こりを思い出してみましょう。

 

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/2016/08/31.html

 

そう、この都知事の8月31日の会見で延期が決まりました。色々な理由が述べられていますが、その冒頭で述べられたのが、地下水モニタリング調査の最終分の結果を待ちたいという話。

 

過去7回に渡る結果は基準値以下。しかし、8月の8回目調査で、基準値を上回る汚染物質が検出。そして11月の9回目の結果はそれまでとは全く違った高い数値。

しかも、9月に地下空洞の存在が発覚。

この時、地下空洞内に汚染水が溜まっていることが分かり、世の中の目が一気に豊洲の汚染水に向くことになりました。

 

これにより、当初言われていた建物の落札価格の不明瞭さといった問題は二の次になったような気がします。

 

ここで一つ疑問なのが、「何故、9回目だけ調査方法が違ったのか?」ということです。

ポンプが稼働したということも違う要因のひとつですが、ポンプ稼働がどれだけの影響を与えるのでしょうか?

むしろ、汚染物質が検出され始めた8月、11月の調査が別業者に変わり、11月の調査では、調査方法が変わった。そして、この調査が都知事交代後に行われていることに、ひっかかります。

 

人間、数字を出されるとつい信用してしまいます。しかし、その数字が果たして真実を表しているかどうか?それを見極める目を持たないと、数字に騙され、真実を見失ってしまいます。

 

今回の調査で言えば、この調査は意味のないものと言えるでしょう。

 

・設定状況が違う。(ポンプ稼働の有無)

・調査方法が一定していない。

 

普通に考えれば、この調査結果を基にして、判断しようとしていること自体が間違いでしょう。本当に住民の事を考えるならば、たとえ1年でも、改めて状況と調査方法を統一して調査すべきでしょう。

 

しかし、都知事も議会もそうしようとはしない。

 

そう。すでにこの問題は政治のカードとしての意味しか持たないものにすり替えられているのです。

 

移転判断の時期を8月に設定していること、それ自体が明白に物語っています。

 

この問題が都議選のカードとなっているのです。

 

今一番有利な立場は都知事でしょう。

・前政権の問題点を炙り出し、都民に対し、都政を変えるというイメージを植え付けられた。

・反対勢力の議会自民党をこの問題で悪者にし、イメージダウンさせた。

・与党側の公明党を都知事側に引き寄せた。

大きなアドバンテージです。

 

このまま都議選までは移転の決定をせず、選挙に持ち込み、都知事陣営と協力政党で議会を抑えたいというのが本音でしょう。

 

そして、移転問題の結論を出す。

無難な線は「豊洲移転」です。地下水は市場で使われるわけではありません。都が専門家会議の答申を受け、安全宣言を出す形で安全性の担保は形の上で整います。

追加で地下の盛土を行う、地下水濾過装置を作る、等の対策を行えば、よりベターな形になるでしょう。

 

今更築地を使うことはできません。豊洲に2019年度までに移転することになるでしょう。

 

そして、今その決定をすべきではありません。豊洲に移転することは、反対派に攻撃材料を与えることになるからです。今は移転の是非は8月まで棚上げするのが一番良いのです。

 

さて、これが本当に都民のための政治なのでしょうか?

 

別に私は都知事を非難したいわけではありません。ただ、状況を自分なりに分析してみたまでのことです。東京のことは都民が決めればいい。その結果に口を挟む気はありません。

 

ただ、このような見方もあるということを踏まえたうえで、議員を選んでほしいと願っているだけです。

 

「民主主義では選挙民の政治レベルに応じた議員しか出てはこないし、選挙民の政治レベルに応じた政治しかなされない」

 

振り回されている築地市場の方が一番気の毒です。長い目で見た時、豊洲ではなく、大田が築地の後継者となるのかもしれません。