匂いってものが歌などと同じく、思い出を甦らせるって事は往々にしてあると思います。
実家とか自分の部屋とかタオル、服、雨、春夏秋冬といったものには全て匂いがあると思う。今日は特に春の臭いがした。なんかこう、風に乗って薫る草木の芽吹く気配、陽気のベールのような優しい匂い。色で言えばうっすいピンク。桜。今年は見れそうにないが桜の気配はすぐそこまで来てる。いつも起きるととりあえず窓を開ける癖はここから来ている。今日の匂いを確認してベッドから体温を置き去りにして飛び出る。どんより雨でも、雨の匂いを嗅ぐ。匂いフェチですか?ええそうですとも。こんな陽気な匂いは、新学期の始まるあの日、初めて上京したその日、そんな気分を思い出す。少し緊張している肩を下げて、おのぼりさんとバレないため上を向かないように、東京知ってるぜの作り顔で歩き出した東京都町田市を思い出す。そう。初めは町田に住んだ。文系1.2年生が通う淵野辺キャンパスからそう遠くない所、しかし地元浜松から遥か何百㎞も離れたその地から今現在ここまで歩いてきても、
春は何だか緊張するなぁ。