自宅の駐車場にはバックで止めなければならない。

あっ、車の話です。



本日。

大好きなドライブの後、バックで車を止めようとサイドミラーを見た。


すると車を止める場所に、チャリが止まっているではないか。

これでは駐車出来ないではないか!!

しかし犯人は判明している。


母だ。


母はいつも少し距離のある駐輪場にチャリを止めずに、近くの駐車場に止めてしまうのです。

おかげで毎回、チャリを動かしてからの駐車になるので大変手間なのだ。



ただ、今回はいつもと事情が違った。

チャリが、駐車スペースの端っこに止めてあった(いつもは真ん中にどーん)ので、ギリギリに止めればチャリを移動しなくても駐車できるはずだ!


俺には出来る・・・!!!
バックはいつもやっている!!
出来るに決まってる!!


思わずハンドルを握る手が汗ばむ。

額から汗が流れ落ちる。

暑いわけではない。

シフトをRの位置にする。

ゆっくりハンドルを切る。


車は自転車の脇スレスレを通過して、ゆっくりと定位置で停車した。


出来た!!
やっぱり俺は出来る男だ!!


サイドミラーをたたみ、意気揚々とエンジンを切ってドアを開けた。



その着後、俺の目の前には、ドアに当たって倒れたチャリの姿があった。。。

俺は勇者だ!!16歳だ!!

勇者だからとりあえず魔王を倒しに行くぜ!!

いやその前に、旅立つ前に王様に会って行かないとな!!

これはRPGの常識だ!!

・・・俺の計画は完璧だ!!

俺は王様に会いにお城へと向かった。


「おぉ、よく来たな勇者よ!!」

俺は王様の前までやってきた。
白いひげをふさふさに蓄えて、金のかんむりを頭に乗せている。
見た目通りの王様だな。
ここで通常のRPGなら旅の資金と装備品をもらえるはずだ。

「魔王を倒すそうだな!褒美に・・・」

俺は王様の次の言葉を待った。王様は言った。

「褒美に死をくれてやる!!」

「何だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

「死ね!!」

「待て!まだ俺はレベル1ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!」


勇者は死んだ。


・・・・・・・・・・


俺は勇者の子供だ!!16歳だ!!

俺の親父は王様に殺された!!

だから俺は王様を倒しにいくぜ!!

もちろんついでに魔王もな!!

しかし俺は親父と同じ過ちはしない!!

まずは装備を整える!そして攻撃力と守備力を上げてから王様を倒す!!

・・・俺の計画は完璧だ!!

さぁ、買いに行くぜ!!


勇者の子供は100円ショップまでやってきた。
ここなら丈夫で良い素材の装備が安く手に入る。
おっ、この武器は良さそうだな。

勇者の子供は包丁を手に取った。
うん、攻撃力がかなり上がるな。
あとは防具だな。防具はもう決めてある。
これだ。

勇者の子供が手に取ったのはお鍋のふただった。
防具の定番って言ったらおなべのふたでしょ♪


早速購入した。
よし、装備するか!
武器や防具は装備しないと意味がないからな。

勇者の子供は包丁とお鍋のふたを装備した。

早速・・・



試し切りだぁぁぁぁ!!!!!!!

勇者の子供は目の前にいた酔っ払いのおっさんを標的にした。

「うわぁぁ、変質者だぁぁ!!」

酔っ払いは勇者の子供を見るなり逃げ出した。

「逃がすかぁぁぁぁ!!!!」

勇者の子供は酔っ払いを追いかけ、背中を切りつけた。
しかし刃先は空を切った。だかその攻撃で酔っ払いは激しく転倒した。

「す、すまん!許してくれ!!」

酔っ払いは土下座して勇者の子供に媚びた。
ふっ・・・俺の勝ちだ。

勇者の子供は2の経験地を手に入れた。

勇者の子供はレベルが2に上がった!!気がした。

このままレベルを上げて、王様を倒してやるぜ!!・・・ん?

勇者の子供はここであることに気づいた。
いまだに土下座している酔っ払いに包丁を向けた。

「おい、金は!!敵を倒したらお金が手に入る。これは社会の常識だろ!!」

「ひぃぃ!!金はない!!許してくれぇぇぇ」

「うるさい!!負けたくせにお金を渡さない卑怯物が!!」


言い争ってる2人のところに、サイレンを鳴らしたパトカーがやってきた。

「丁度いいところに警察が来たようだぜ。負けてもお金を渡さない、社会に逆行したお前を逮捕してもらうぜ!!」


逮捕されたのは当然、勇者の子供だった。


・・・・・・・・・・


俺は勇者の孫だ!!16歳だ!!

俺の祖父は王様に殺され、親父は警察に捕まった!!

だから俺は警察を倒しに行くぜ!!

もちろん王様と魔王もな!!

しかし俺は祖父や親父と同じ過ちはしない!!

親父は装備を買うまでは良かった!!

しかし街中で武器を装備して村人を傷つけた!!

街中では武器はしまうものだ!!

町の外に出てから装備する!!

外には怪物がうようよいるからな!!

・・・俺の計画は完璧だ!!



コンコン。
部屋の扉がノックされた。
誰だ、今から旅立つ俺の邪魔する奴は?
俺の邪魔をする奴は誰であろうと許さん!!
み・な・ご・ろ・し・だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!


勇者の孫は勢いよく扉をあけた。
訪問者は勇者の孫に向かって挨拶をした。


「どうも、魔王です♪」

訪ねてきたのは魔王だった。

「あぁ、こんにちは♪って、ええぇぇぇ!!??何で魔王が俺の家に来るんだ!?」

「いやぁ、実は俺のおじいちゃんがどうやら勇者って奴に狙われていたみたいでさ。お父さんもその勇者の息子に狙われていたようでね。たぶん、勇者の孫がきっと俺を倒しに来ると思って、こっちから出向いたってわけ♪」

「いやいや、魔王って普通、禍々しい城の一番奥にいるもんだろ!!わざわざ家まで来るな!!その前に俺はまだレベル1だし、武器も防具も買ってないよ!」

「それはどこ常識だよ。強くなってしまったら、僕がやられるでしょ。だから、不安の目は早めに摘んでおかないとね」

「そんなバカなー!!!」

「死ね♪」

「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!」

勇者の孫は死んだ。


完。



俺は部屋の電気を消して布団に潜り込んだ。

もちろん寝るためだ。

真っ暗な部屋。

微塵の明かりもない。

もちろん何も聞こえない。

感じるのは機械的に脈動している心臓の鼓動だけだ。

こうして無心に横になっている時が一番幸せなのではないだろうか。

最近ふと思う。

このまま時が止まったとしたら俺はどうなるのだろうか。

時間に縛られない。、お金にも縛られない・・・

そんな人生。

ん?お金・・・?


「しまったぁぁぁっ!!」


俺は勢いよく上体を起こした。


「明日までに銀行にお金を入金しなければいけなかったの忘れてた!なのに、さっき財布の中身を全部募金しちゃった!!・・・くそ、こうなったらへそくりを使うしかないか」


そう言いながら立ち上がると、へそくりが置いてある部屋まで歩き始めた。


「確かへそくりの場所は、地下の隠しダンジョンだったよな・・・」


へそくりの隠し場所を思い出しながら、ダンジョンの入り口を隠してあるタンスの前に立った。このタンスの奥に、隠し階段があったはずだ。

俺はそのタンスを、C4爆弾、通称プラスチック爆弾で破壊した。爆煙が収まると、目の前に地下へと続く階段が現れた。手に持っていた懐中電灯のスイッチを入れ、ゆっくりと階段を降りていった。


階段は螺旋状だった。
ぐるぐるとした階段を降り続ける。
明かりの手がかりは手に持った懐中電灯だけだ。
足元を照らし続けて、ひたすらと降り続ける。
・・・もう何分間歩いただろうか。
まさかこのまま永遠に歩き続けるのだろうか・・・



俺は歩き続けて過労死した。

END。



階段は螺旋状だった。
ぐるぐるとした階段を降り続ける。
明かりの手がかりは手に持った懐中電灯だけだ。
足元を照らし続けて、ひたすらと降り続ける。

ふと、横に扉があったことに気づいた。
危ない危ない、足元ばかり見ていたから扉の存在に気づかなかった。
もしかしたら、このまま歩き続ける羽目になっていたかもしれない。

俺は扉をゆっくりと押した・・・


扉の先は真っ暗で何も見えなかった。
懐中電灯を前に向ける。
どうやら真っ直ぐ通路が続いているようだ。
車1台がギリギリ通れそうな横幅だ。

俺は1歩踏み出した。
それが合図のように、懐中電灯の明かりが数回点滅した後、完全に沈黙した。


明かりが!!くそっ、何も見えなくなったぞ・・・
どうするか・・・

そうだ!しばらく目を閉じて、暗さに目を慣れさせよう。

俺は目を閉じた。1分ぐらいで目を開けよう。
そうすれば少しは暗さに目も慣れているだろう。


うっかり寝てしまった。

END。


俺は1歩踏み出した。
それが合図のように、懐中電灯の明かりが数回点滅した後、完全に沈黙した。

明かりが!!くそっ、何も見えなくなったぞ・・・
どうするか・・・

困った俺は懐中電灯を力いっぱい振ってみた。
すると神のご加護か、懐中電灯に明かりが灯った。
初めて神様の存在を信じたぜ。

懐中電灯を前方に照らし、俺は歩き始めた。


その直後、何か音が聞こえてきた。その音はまるで、車のエンジン音のような音だ。

「何の音だ、この音は?」

俺は前方を見据えた。すると前方から車がこっちに向かって走ってきているではないか!

「何でこんな所に車が走ってるんだ!!いや、その前にこのままじゃ衝突する!!」

車は狭い通路を道幅ギリギリで走っているため、逃げようがなかった。ふと後ろに振り返ると、さっき入ってきた扉があった。

ここからなら逃げれるぞ!

俺は扉のノブを回した。
しかし、どうしてだかノブはまったく回らなかった。
右に回しても、左に回してもノブはびくともしない。


「何で動かないんだよ!」

ノブを必死で回しながら後ろを振り返ると、車はもう目の前まで迫っていた。

仕方ない・・・

俺は真っ直ぐ車を見て、右手のひらを真っ直ぐに車に向けた。


「実は隠していたんだが、俺は銀河拳法の有段者なんだ。あんな車ぐらい片手で止めてやるさ」


無理だった♪
俺は車に押し潰された。

END。


続く?