まだ子供達が小さい頃、自分の親みたいな年齢のおばちゃん達と一緒に働いていたことがあり、とても可愛がってもらっていました。

その仕事から離れても、仲良くなったおばちゃん達とは年に一度、Sさんちで忘年会をしていたんです。

でも幹事役だった人が病気になったりコロナ禍に入ったりで、集まれなくなりました。

みんな元気にしてるかなぁと思っていました。

今日、いーーーろいろあって、忘年会の場所を提供してくれていたSさんを訪ねることになったんです。

久しぶりに会う。

元気かな。

わくわく。

ピンポン押して、はーいと出てきたSさん。

顔を見て、なんか嫌な予感がよぎりました。

…やっぱり。

あたしのことがわからなくなっていた。

このおうちで忘年会していたことも忘れていました。

こうだったんだよ、あぁだったんだよ?と話しても、覚えてないと言います。

悲しくてつらくて、涙がでそうでした。

泣くとSさんが悲しむと思って泣きませんでした。

…記憶をなくしてる人って、なぜか目でわかる。

Sさん久しぶり!って顔を見た時、嫌な予感がしたときもそうだった。

あ、あの目だ、と思った。


また遊びに来てな、と言われたけど、たぶん行かない。

つらいよ。

何を話しても覚えてないのに。


その夜、共通の知人、この人もしばらくぶりのおばちゃんに電話してみた。

電話番号変わってなければいいなと思うほど久しぶりだったけど、変わってなかった。

ちゃんと覚えてくれていました。

Sさんのことを話して、泣いてしまった。


みんな、歳をとる。

親も。

そのうち自分も。


自分との思い出を失くしてしまわれたときのつらさ。

知ってたよ。

知ってたけど、そんなの久しぶりすぎて、つらかったよ。