放射線治療が始まった。

放射線治療室は一階の一番奥の部屋。扉も何重にもなっていて、まさに隔離されているようだった。放射線というと思い浮かぶイメージは身体に良くないもの。それを身体を良くするためにするのだからおかしなものだ。

まず受付をする。そこに座っている人は日常的のように処理をし、流れ作業のように案内する。私は一人診察室の前のベンチに座った。放射線科の先生は医師そのもので、ボソボソと話すがどこか潔さそうな年配の先生だった。私は最後までその先生に慣れなかったが、横にいつもいる看護師さんと仲良くなることとなる。まず副作用の説明をされる。船酔いのようなだるさ、皮膚の一過性の黒ずみ、乾燥、浮腫、吐き気などなど。すでに抗がん剤の副作用を経験していたため、それは全然怖くなかった。なぜなら、これが終われば全てが終わるのだから。その後にスタンプカードを渡された。それを持ち、看護師さんと放射線室の奥の方へと移動する。「若いのに大変やったねぇ、どこまで治療は進んでるの?」私はこれまでの経緯を話した。これが最後だということがわかると、「あとちょっとやから一緒に頑張ろうね」という言葉をいただいた。

奥には服を着替える部屋があり、そこで病院着に着替えてから、手術した部分を重点的に脇・鎖骨と放射線を当てる。本来身体に良くない物なので、照射部分は少しでもずれるのはあってはならないことらしい。放射線室はとても大がかりな機械がたくさんあり、重々しい雰囲気だった。威圧感がすごい。案内されるままベッドに横たわり、身体に直接油性マジックで調整しながら印を付ける。これは治療中はずっと付けたままらしい。

放射線治療がスタートをきった。左手を挙げ、リンパ節にまでしっかり当たるように照射する。暑くもなく痛くもない。その時間たった5分。その後スタンプカードにクマやクローバーなどのスタンプを押してもらう。これが嬉しかった。まるでラジオ体操を頑張った時に貰えるシールのようで懐かしかった。

明日もまた来てくださいね!放射線治療の開始だ。