2014年8月猛暑日。

左胸のあたりがチクチクするような痛み。さほど気にせず1ヶ月が経過していた。叔母が乳癌になっていたこともあり、昨年末に受けた検診を1年も待たずして乳癌検診を受診することにした。当時パートで働いていた私はわざわざ休みをとり、近所の大きな外科へと出向くことにした。当時乳腺外科の存在を知らなかったし、昨年末もここで検診を受けていたので、あくまでも安心を得るために。

これが大きく運命を変えるきっかけとなる。

案内された古びた診察室。マンモグラフィとエコーの検査、更に触診と問診。流れ作業のようにことは進んでいく。最後に先生が細胞を検査しようと提案してきた。しこりがあるらしい。先生曰く、しこりがある人は確認のためにみんな細胞を検査するということ。医者がいうなら間違いない。私は言われるがままに太い針を左胸に刺し、1週間後の検査結果を待つことになる。

1週間後、結果は良性。
安心した…ただ先生が奇妙なことを言い出す。『これは絶対に癌やからもう一度細胞の検査をしよう!』
意味がわからない。最初は説明を聞いていたが、どんどんどんどん腹が立ち、何を以て良性なのか、正気なのか、もしそうだとしてもここではしない!1週間前の細胞の検査で左胸は紫色に大きく内出血していた。結局言うことを聞かない私に先生は紹介状とCD-ROMを渡してきた。『これを持って病院に行って再検査して下さい』。茶封筒を持ったまま病院を足早に去り、細い路地でその後母に泣きながら電話した。

悔しくて悔しくてもう一度違う病院で検査して癌じゃないことを確定させてやる!そんな気持ちだった。

この負けず嫌いの性格が人生を良い方向に導いたのかもしれない。