トランプの参謀であるヘリテージ財団が、

「プロジェクト 2025」という

大統領移行プロジェクトを推進している。

 

 

 

 

 

1973年に設立された、

アメリカ合衆国ワシントンD.C.に本部を置く保守系シンクタンク

企業の自由、小さな政府、個人の自由、

伝統的な米国の価値観、国防の強化などを掲げ、

米国政府の政策決定に大きな影響力を持つ。

 

 

 

 

 

プロジェクト2025は、ヘリテージ財団が組織したイニシアティブである。

2024年の大統領選挙でドナルド・トランプが勝利した場合に、

アメリカ合衆国連邦政府を再構築して行政権を強化するために、

保守派と右派の一連の政策提案を推進することを目的としている。

 

 

 

アメリカ合衆国憲法第2条と統一行政理論(英語版)を下に、

行政府全体が大統領の直接の統制下にあると主張している。

プロジェクト2025は、

数万人の連邦公務員を政治任用者として再分類することにより、

トランプ大統領の政策を実現することに意欲的な

忠誠心のある支持者に置き換えることを提案している

プロジェクトの支持者たちは、この変更を実施することで、

彼らが巨大で無責任で大部分がリベラルであると見做している、

政府の官僚制度は解体されると主張している。

 

 

 

プロジェクト2025は、

政府と社会にキリスト教の価値観を浸透させることを目指している。

 

 

 

批評家はプロジェクト2025を、

アメリカ合衆国を独裁政治に導く

権威主義的なキリスト教ナショナリストの計画である

と特徴付けている。

多数の法律専門家は、プロジェクト2025により、

法の支配、権力分立、政教分離、市民の自由が、

弱体化することになる と述べている。

 

 

 

プロジェクト2025は、

政府、特に経済政策と社会政策や、

連邦政府とその行政機関の役割に対する

広範な変革を想定している。

 

 

 

計画では、

アメリカ合衆国司法省(DOJ)、連邦捜査局(FBI)、

商務省、連邦通信委員会(FCC)、連邦取引委員会(FTC)を

党派的に支配し、

国土安全保障省(DHS)を解体して、

化石燃料の生産を促進するために、

環境および気候変動に関する規制を、大幅に削減することを提案している。

 

 

 

計画では減税の導入を求めているが、

提案者たちは保護貿易の通念に異議を唱えている。

 

 

 

プロジェクトは 教育省の廃止 を勧告しており、

教育省のプログラムは、

他の行政機関に移管されるか終了されることになる。

 

 

 

気候研究への資金は削減され、

国立衛生研究所(NIH)は、

保守派の原則に従って 再編される

 

 

 

プロジェクトは、

メディケアとメディケイドへの資金の削減 を目指しており、

政府が 医療としての中絶を明確に拒否する よう求めている。

プロジェクトは、

Affordable Care Actに基づく緊急避妊薬の適用を撤廃し、

全国で避妊薬や中絶薬の配送の

差し出しや受け取りを行った者を起訴するために、

コムストック法を施行することを目指している。

 

※コムストック法:

 避妊や中絶に関する資料、猥褻なものに関する情報が記載された

 手紙、文章、書籍の郵送を禁じる法律。

 

 

 

ポルノを犯罪化して、

性的指向やジェンダー・アイデンティティに基づく

差別に対する法的保護を廃止し、

司法省に「反白人人種差別」を訴追させることによって、

多様性・公平性・包括性(DEI)プログラムと

アファーマティブ・アクションを終了させることを提案している。

 

 

 

プロジェクトは、

アメリカ合衆国在住の

不法移民の逮捕、収容、国外退去 を推奨している。

国内で法を執行するために、軍隊を配備することを提案している

また、死刑と その判決の迅速な「確定」を促進している。

 

 

 

 

2024/07/19

 

 

【プロジェクト2025は、どのような政策を求めているのか】

 

 

  政策ガイドには、以下の提言が盛り込まれている。

 

 

・連邦政府職員の解雇を容易にすることなどにより、

 いわゆる「行政国家」を解体する。

 大統領の野心に献身的な政治任用者に属するべき政策決定に対して、

 連邦政府省庁のキャリア官僚が過度の権限を持っているという主張だ

 

 

 

・国境に軍隊を派遣することによって、

 不法入国を減らし、不法移民の強制送還を増やす

 入国管理機関を統合し執行を簡素化し、

 議会と協力して、入国管理官の増員と収容スペースのための予算を増やす。

 また、強制送還と判断された人々を受け入れない国に制裁を科す

 

 

 

・連邦レベルでの個人所得税制を見直す

 高所得者は30%、それ以外は15%とする。

 現在は7つの税率区分があり、税率は10%から37%。

 大半の控除はなくなる。

 

 

 

法人税率を、21%から18%に引き下げる

 

 

 

教育省を廃止する

 

 

 

・米国の石油・ガス開発を奨励するため、規制を緩和し、

 電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの生産に

 税額控除や その他のインセンティブを提供する

 インフレ抑制法(IRA)の撤廃に取り組む。

 「主要な気候変動警報産業推進力の一つ」と評されている

 米海洋大気局(NOAA)を縮小することによって、

 化石燃料の生産を増大させ、環境問題への関与を弱める。

 

 

 

・行政機関の業務や政策から、

 ダイバーシティー(多様性)・エクイティー(公平性)・

 インクルージョン(包括)= DEI への配慮を排除し、

 トランスジェンダーの入隊を禁止する

 

 

 

国防費を増やし、米国の核兵器を強化する

 

 

 

・ポルノを規制し、その制作者や販売者を投獄する

 

 

 

人工中絶規制を強化する。

 議会と協力し、制限的な全米中絶法を成立させることや、

 米国で最も一般的な妊娠中絶方法である

 薬物中絶に使用されるミフェプリストンなど、

 薬剤の当局承認を取り消すこと、

 「自然流産、(化学療法など)偶発的に子どもの死につながる治療、

  死産、誘発流産」全ての事例について、

 政府による広範な追跡調査を実施することなどが、

 例として挙げられる

 

 

 

 

 

 

プロジェクトの提案は、

トランプ氏の選挙戦レトリックと比較してどうか

 

 

全般的にトランプ氏は、

自身が「ディープステート」と呼ぶ 官僚機構の破壊や国境警備の改善、

不法移民の大量強制送還、教育省の廃止、

米化石燃料産業の環境規制緩和、軍備増強、

トランスジェンダーの保護を含むダイバーシティー政策の撤回を求めている。

 

 

 

同氏は、減税も提案。

 

 

 

中絶に関しては、プロジェクト2025と異なり、

中絶法は各州が引き続き定めるべきだと述べている。

また、ミフェプリストンへのアクセスは妨げないとしている。

 

 

 

https://www.project2025.org/about/about-project-2025/

 

 

【プロジェクト2025チーム】

 

 

  

 

 

 

 

 

プロジェクト2025とトランプ氏の関係は

 

 

このイニシアチブの2人のトップリーダーは、トランプ政権で働いていた。

プロジェクト2025をディレクターとして率いる ポール・ダンズ氏 は、

人事管理局(OPM)のチーフスタッフで、プロジェクト2025のナンバー2、

スペンサー・クレティエン氏 は、

ホワイトハウス人事部のアソシエートディレクターだった。

 

 

 

政策ガイドの大半は、トランプ政権の元高官が執筆。

トランプ氏がホワイトハウス返り咲きを果たした場合、

その多くが政権入りする候補者とみられる。

 

 

 

中でも有力とされているのが、

住宅都市開発長官だったベン・カーソン氏や

国防長官代行を務めたクリス・ミラー氏、

エコノミストで非公式顧問のスティーブン・ムーア氏、

ピーター・ナバロ元大統領補佐官、

行政管理予算局(OMB)局長だったラス・ボート氏らだ。