https://www.thelancet.com/journals/lanmic/article/PIIS2666-5247%2824%2900025-9/fulltext
「SARS-CoV-2を接種した
健康な血清陽性英国成人における
安全性、忍容性、ウイルス動態、および防御の免疫相関:
単一施設、非盲検、第1相対照ヒト感染症研究」 2024/05/01
最近行われた研究で、
科学者たちは過去に陽性と判定されたボランティアのグループを
意図的に感染させようと試みたのですが、見事に失敗しました。
ウイルスを大量に投与しても効果がなかったのです。
しかも、興味深いことがあります。
ワクチン接種を受けていない人は、
オミクロンの「ブレークスルー感染」に対する防御効果が、
有意に高いのです。
いわゆる「パンデミック」と呼ばれる流行が終わって
ずいぶん経ちますが、
恐怖を煽り、規制と強制的な措置に満ちた
この不幸な時代の再評価は まだ続いています。
この点に関して、
『The Lancet』誌に新たに掲載された
コロナウイルスの感染力を扱った研究は、非常に興味深いものです。
SARS-CoV-2(旧型ウイルス株)を、
大量にボランティアのグループに感染させようとしましたが、
うまくいかなかったのです。
研究者たちは、
RT-PCR検査でSARS-CoV-2陽性と判定されたことのある
18~30歳の健康な英国人ボランティア36人に、
(ワクチン接種状況に関わらず)コロナウイルスを大量に投与しました。
ウイルスは自然感染と同じように経鼻投与され、
その後、データが改竄されないように隔離されました。
著者らは、こう書いています。
「1×105 TCID50まで用量を増やしても、
いずれのボランティアにおいても、
持続感染を誘導することはできませんでした。
36人のボランティアのうち5人(14%)は、
PCR陽性スワブの動態から一過性感染者と考えられました。
一過性に感染したボランティアは、
ベースラインの粘膜
および全身のSARS-CoV-2特異抗体価が有意に低く、
CD8+ T細胞SARS-CoV-2ペプチドプールに対する末梢のIFNγ反応が、
非感染ボランティアより有意に低い結果となりました。
36人のボランティアのうち14人(39%)が、
隔離解除後にオミクロン変種によるブレークスルー感染を発症しました。
隔離中のボランティアから報告された有害事象のほとんどは軽度で、
疲労(16人[44%])と鼻づまり(16人[44%])が最も多いものでした。
重篤な有害事象は、ありませんでした。」
研究著者らは、(実験用ワクチンだけでなく)以前の感染の結果、
再感染に対する十分な防御があるようだと結論づけています。
しかし、補足資料の付録の表2を見ると、
ワクチン未接種の被験者9人のうち1人(11%)だけが、
12ヵ月の追跡調査期間中に
市中感染によるブレークスルー感染を起こしたのに対し、
Covidワクチンを接種した被験者27人の場合は13人(48%)
だったということは、
両者の間に歴然たる違いがあります。
しかし、この事実は、研究者たちによって故意に無視されました。
研究グループは比較的小規模でしたが、
次のような事実が明らかになりました。
第1に、呼吸器系ウイルスに感染したことのある人を
感染させることは非常に困難である。
第2に、Covid-19の場合、
前回の感染に加えて「ワクチン接種」を行うと、
変異株による再感染への感受性が高まるようである。
ワクチン未接種の9人に1人しかオミクロン陽性にならないのに、
ワクチン接種を受けた27人中23人が後に陽性となれば、
明らかに不均衡ですよね。
さらに、この研究に関連して、
科学雑誌『Nature』に掲載された解説によれば、
このような高レベルの免疫は、
ワクチンや治療法の研究を「複雑化」させるとのことです。
そこには、こう書かれています。
「5月1日付のLancet Microbe誌に発表された この研究結果は、
ワクチンや医薬品、その他の治療薬をテストするための
Covid-19負荷試験の有用性に疑問を投げかけるものである。
『人に感染させることができなければ、このような試験はできません』
とインペリアル・カレッジ・ロンドンのウイルス学者
トム・ピーコック氏は言います。
負荷試験で使われるウイルス株は生産に何ヵ月もかかるため、
集団に存在する高レベルの免疫に打ち勝つことのできる、
新たに出現した循環型ウイルス株と一致させることは不可能です。」
どう考えても、SARS-CoV-2の場合、
自然感染によって獲得された免疫のほうが、
明らかに優れている ことが証明されています。
さらに、実験用ワクチンの投与は、
自然に獲得された防御効果を著しく低下させることが判りました。