Peter Gotzsche(ピーター・ゴッチェ)氏は、

2010年にコペンハーゲン大学の臨床研究立案・分析教授に任命され、

長い間、世界有数の独立した医学研究組織とみなされてきた

コクラン共同計画の共同創設者でもあります。

そんな彼が、

『Prescription Drugs Are the Leading Cause of Death

 (処方薬は死因の第一位)』

『psychiatric drugs are the third leading cause of death

 (精神科の薬は死因の第三位)』

というタイトルの記事を書きましたが、

薬物による死亡のほとんどは予防可能であり、

処方薬で死亡した人のほとんどは、

そもそも薬を必要としていなかった という彼の警告に、

耳を傾けるべきだと思います。

 

 

 

 

製薬会社による科学の腐敗を

長年にわたって痛烈に批判してきたことで知られるゴッチェ氏は、

「5大医学雑誌」

(JAMA、Lancet、New England Journal of Medicine、

 British Medical Journal、Annals of Internal Medicine)に

97本以上の論文を発表し、

『Deadly Medicines』や『Organized Crime』など、

医療問題に関する書籍も出費都しています。(ソース

 

 

 

彼は、こう言います。

「私たちは、薬物パンデミックを簡単に制御できたはずだが、

 政治家が動くと、たいてい問題を悪化させてしまう。

 というのも、製薬業界からの強い働きかけが、

 薬物規制を『以前よりもずっと寛容なもの』にしているからだ。」

 

 

 

 

 

「処方薬が主な死因」

 

          ピーター・C・ゲッチェ(PETER C. GØTZSCHE)  著 

          ブラウンストーン研究所  2024/04/16

 

 

 

 

過剰な薬物治療は多くの人を死に至らしめ、

その死亡率は増加の一途を辿っている。

それゆえ、この長期にわたる薬物パンデミックを放置しているのは奇妙であり、

薬物による死亡のほとんどは容易に予防可能であるため、尚更である。

 

 

 

2013年、私は、

処方薬が、心臓病、がんに次ぐ死因の第3位であり、

2015年には、精神科の薬だけでも死因の第3位であると推定した。

 

 

 

しかし、米国では一般的に、

医薬品は死因の第4位「に過ぎない」と言われている。

この推定は、患者が入院中に発生した、

あるいは入院の理由となった すべての副作用をモニターが記録した

39の米国研究の1998年のメタアナリシスから導き出されたものである。

この方法は、明らかに薬害死を過小評価している。

薬物によって死亡した人のほとんどは 病院外で死亡しており、

メタ分析では、病院に入院していた期間は平均11日に過ぎない。

さらに、このメタアナリシスでは、

適切に処方された薬剤によって死亡した患者のみを対象としており、

薬剤投与ミス、コンプライアンス違反、過剰摂取、

薬物乱用の結果として死亡した患者は含まれておらず、

薬物有害反応の可能性があっただけの死亡は含まれていない。

 

 

 

多くの人が、

例えば禁忌薬の同時使用などのエラーのために死亡しており、

薬物死亡の可能性は、現実に多数存在する。

さらに、収録された研究のほとんどは非常に古く、

発表年の中央値は1973年であり、

過去50年間で薬物による死亡は劇的に増加している。

一例として、

2006年にFDAに報告された薬物死亡は3万7,309件で、

10年後には12万3,927件と3.3倍になっている

 

 

 

 

病院の記録や検視官の報告書では、

処方薬に関連した死亡は自然死や原因不明とされることが多い。

このような誤解は、特に精神科治療薬による死亡によく見られる。

統合失調症の若い患者が突然死んでも、それは自然死と呼ばれる。

しかし、若くして死ぬのは自然なことではないし、

神経弛緩薬が致死的な不整脈を引き起こすことは、よく知られている

 

 

 

多くの人が、薬の副作用を疑うことなく、服用した薬で命を落としている。

うつ病治療薬は、起立性低血圧、鎮静、錯乱、めまいなどを引き起こすため、

主に高齢者の間で多くの人が亡くなっている。

これらの薬は用量依存的に転倒や股関節骨折のリスクを倍増させ、

股関節骨折後1年以内に患者の約5分の1が死亡することになる。

高齢者はいずれにせよ転倒することが多いので、

このような死亡が薬物によるものかどうかを知ることはできない。

 

 

 

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による、

認識されていない薬物死の例もある。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、

主に心臓発作や出血性胃潰瘍によって数十万人を死亡させているが、

こうした死亡は、その薬を服用していない患者でも起こっているため、

副作用としてコード化される可能性は低い。

 

 

 

1998年の米国のメタアナリシスでは、

毎年10万6,000人の患者が

薬剤副作用のために病院で死亡していると推定されている(死亡率0.32%)。

慎重に行われたノルウェーの研究では、

内科で1995年までの2年間に発生した 732人の死亡を調査したところ、

患者1000人あたり9.5人の薬害死亡があった(死亡率1%)。

これは、薬物による死亡が著しく増加していることから、

より信頼できる推定値である。

この推定を米国に当てはめると、

病院での年間薬物死亡者数は31万5000人となる。

2008~2011年までの4つの新しい研究のレビューによれば、

米国の病院での薬物死亡は40万人を超えると推定されている。

 

 

 

現在、薬物使用は非常に一般的なものとなっており、

米国では、2019年の新生児は、

生涯の約半分にわたって、処方薬を服用すると予想される。

さらに、有害事象も増加している。

 

 

 

精神科治療薬による死亡者数ははてなマーク

 

 

精神科治療薬による死亡者数を推定したい場合、

最も信頼できる証拠はプラセボ対照ランダム化試験だ。

しかし、その限界を考慮する必要がある。

 

 

 

第一に、ほとんどの患者が、

何年も薬を服用しているにもかかわらず、

試験は通常数週間しか実施されない。

 

 

 

第二に、精神科では有害事象が一般的であり、

これが死亡リスクを高めている。

一例として、デンマーク保健委員会は、

神経弛緩薬にベンゾジアゼピンを追加すると、

死亡率が50~65%増加すると警告している

 

 

 

第三に、公表されている試験報告では、死亡例の半分が欠落している。

認知症の場合、公表されているデータでは、

新しい神経弛緩薬で10週間治療した 100人に1人が死亡している。

これは薬剤としては極めて高い死亡率であるが、

同じ試験に関するFDAのデータでは、

10週間後に100人当たり2人の患者が死亡しており、2倍の死亡率である。

さらに観察期間を延ばせば、死亡率は さらに高くなる。

新たにアルツハイマー病と診断された

7万718人の地域住民を対象としたフィンランドの研究によれば、

神経弛緩薬は、治療を受けなかった患者と比較して、

年間100人当たり4~5人が死亡している

 

 

 

第四に、精神科治療薬の治験の計画には偏りがある。

ほとんどの場合、患者は試験に参加する前に すでに治療を受けており、

プラセボに無作為に割り付けられた患者の中には、

アカシジアなどのために死亡リスクを高める離脱効果を経験する者もいる。

休薬設計のため、

神経弛緩薬の死亡率への影響を推定するために

統合失調症のプラセボ対照試験を用いることはできない。

これらの非倫理的な試験における自殺率は、通常の2〜5倍であった。

リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、セルチンドールの

試験に参加した患者の145人に1人が死亡したが、

これらの死亡例は科学文献には記載されず、

FDAも記載を義務付けなかった。

 

 

 

第五に、試験中止後の有害事象が無視されることである。

ファイザー社の成人に対するセルトラリンの試験では、

自殺と自殺未遂のリスク比は、

追跡期間が24時間では0.52であったが、30日になると1.47となった。

また、研究者らが、うつ病治療薬に関するFDAの試験データを再解析し、

追跡調査中に発生した害を含めると、

治療薬はプラセボと比較して、成人の自殺者数を倍増させることが わかった。