「内因性アルデヒド誘導性の DNA-タンパク質架橋は、

 転写共役修復によって解決される」(論文) 2024/04/10

 

 

 

 

「『二日酔い』遺伝子が老化を引き起こす仕組みを解明

  ~よく使われる遺伝子の傷は素早く治される~」

  名古屋大学  2024/04/11

 

 

 

名古屋大学 環境医学研究所発生遺伝分野の

岡 泰由 講師、中沢 由華 講師、

嶋田 繭子 技術員、荻 朋男 教授らの研究グループは、

アルデヒド(エタノールの代謝産物)によりできたDNAの傷が

素早く治される仕組みを解明することで、

遺伝性早老症や老化の原因の一端を明らかにしました。

 

 

お酒の中に含まれるアルコールは、

アルデヒドに代謝されたのちに無毒化されます。

 

 

お酒を少量飲むだけで気分が悪くなってしまうのは、

遺伝的にアルデヒド分解酵素ALDH2 

(複数のアルデヒドを分解するアルデヒド脱水素酵素)の活性が弱いため、

アルデヒドを分解できなくなることが原因です。

 

 

2020年に同研究グループは、

ADH5 (グルタチオンと結合したホルムアルデヒドを分解する

アルコール脱水素酵素)と呼ばれる別のアルデヒド分解酵素が、

ALDH2と同時に働かなくなることで、

AMeD症候群 (小児期より早期老化症状を示す遺伝性疾患)という

遺伝病を発症することを報告しています。

 

 

今回の研究では体内で分解できずに残った

アルデヒド由来のDNAの傷がAMeD症候群で蓄積すること や、

この傷の除去に未知の仕組みが関与すること を明らかにしました。

 

 

今回の研究は、

急速に老化が進行する希少疾患の原因の一端を解明したものであり、

治療ターゲットの創出に繋がると期待されます。

さらに、老化原因物質として、アルデヒド

新たに提唱するものです。

 

 

本研究成果は、2024年4月10日18時に、

国際学術誌「Nature Cell Biology」に掲載されます。

 

 

 

【ポイント】

 

・急速に老化が進む早老症 (遺伝病)の原因として、

 傷ついた遺伝子を素早く治せないことが関係していることを明らかにした。

 

細胞の中で作られるアルデヒドが、

 遺伝子を傷つけて老化を引き起こす「老化原因物質」であることが分かった。

 

日本人の半数は、お酒を飲むことなどで生じるアルデヒドにより、

 遺伝子が傷つきやすい性質があることを明らかにした。

 

 

 

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