3.時間の価値
前回は、命を救うための時間の価値について説明しました。
毎日、毎時間と、私たちが対策を遅らせるたびに、
この指数関数的な脅威は広がり続けますが、
たった1日で、
感染者数を40％、死者数をさらに減らすことができるのです。
しかし、時間は、それ以上に貴重です。
私たちは今、医療制度に対する
史上最大の危機に直面しようとしています。
私たちは まったく準備ができておらず、未知の敵に直面しています。
それは、この戦いに適した状態ではありません。
もし、あなたが、
ほとんど何も知らない最悪の敵に直面しようとしていて、
2つの選択肢があるとしたら、
敵に向かって走り出すか、逃げることで準備の時間を稼ぐか。
あなたなら、どちらを選びますか
私たちは、感染拡大を遅らせることで、さらに準備を整えることができます。
次のセクションでは、
その時間のメリットについて、詳しく説明します。
患者数を減らす
効果的な抑制を行えば、先週の武漢のように、
一夜にして感染者は激減するでしょう。
現在、湖北省の6000万人規模の地域全体で、
コロナウイルスの新規感染者は毎日0人です。
感染者数は2、3週間は上がり続けますが、その後 下がり始めます。
感染者が減れば、致死率も下がります。
コロナウイルスとは関係のない原因で死亡する人も減ります。
抑制すれば、私たちは助かるのです。
・感染者数の減少
・医療システムと それを運営する人の即時救済
・致死率の減少
・巻き添え被害の軽減
・感染し、隔離された医療従事者が回復し、仕事に戻ることができる。
イタリアでは、医療従事者が全感染者の8％を占めている。
真の問題を理解する：検査と追跡
現在、イギリスとアメリカは、状況を把握していません。
何人いるのか わからないのです。
ただ、公式発表の数字が誤りで、
本当は数万件あることは わかっています。
このようなことが起きたのは、
私たちが検査をしておらず、追跡調査もしていないからです。
・あと数週間あれば、準備を整え、全員に検査することができるでしょう。
その情報があれば、ようやく状況を把握し、
より積極的に取り組むべき場所と、
ロックダウンから解放されても安全なコミュニティが
わかるでしょう。
・新しい検査法は、検査を迅速にし、
コストを大幅に削減するかもしれません。
・中国や他の東アジア諸国で行われているような追跡調査を行えば、
濃厚接触者を特定し、隔離することもできます。
そうすることで、社会的な距離に関する情報を、
後で公開することができます。
ウイルスが どこにあるかが わかれば、
その場所をターゲットにすればいい。
これは、東アジア諸国が、
他の国々で ますます必要になっているような、
強硬な社会的距離をとらずに、
この流行を制御することができた方法の基本なのです。
このセクションの対策（検査と追跡）は、
韓国において、厳格に社会的距離を置かずとも、
感染拡大を抑え、流行を制御しました。
装備の増強
米国は（おそらく英国も）、装備なしで臨戦態勢に入ろうとしています。
マスクは わずか 2 週間しかなく、個人用保護具 (PPE)もほとんどなく、
人工呼吸器も不足し、ICU のベッドも不足し、
ECMO (血液酸素供給装置) も不足しています…。
これが、緩和戦略において、致死率が非常に高くなる理由です。
しかし、時間を稼げば、この状況を好転させることができます。
装備を手に入れるのには、数週間あれば足ります。
各国は、総力を挙げています。
人工呼吸器の部品に3Dプリンターを使うなど、
人々は創意工夫を凝らしています。
我々ならできますが、もう少し時間が必要です。
致命的な敵に立ち向かう前に、数週間待ちますか
必要なものは、これだけではありません。
医療従事者も早急に必要です。
看護師を支援する人材を訓練し、
退職した医療従事者を復帰させる必要があります。
多くの国が すでに始めていますが、それには時間が かかります。
数週間で できるでしょうが、
医療崩壊してしまったら、どうしようもありません。
公衆の感染力の低下
国民は怯えています。
未知のウイルスに対し、
どうしたらいいかわからないことが たくさんあります。
人々はいまだに、握手をしたりハグをしています。
肘でドアを開けないし、ドアノブを触った手を洗いません。
座る前に、テーブルを消毒したりしません。
マスクの数が十分なら、
医療システムの外でも使えるようになりますが、
今は医療従事者用にしておいた方がいいでしょう。
しかし、足りていれば、
人々は日常的にマスクを着けるべきです。
感染したときに、他の人にうつす可能性が低くなるし、
適切な着け方をすれば、着用者が感染する可能性も低くなります。
(いずれにせよ、何も着けないよりは、着けたほうがいいのです）。
これらはすべて、感染率を下げるための お手頃な方法です。
ウイルスを完全を抑えれば抑えるほど、必要な対策も少なくなります。
しかし、これらすべての対策を、
人々に教育し、装備させるには、時間が必要です。
ウイルスを理解する
私たちは、ウイルスについて、ほとんど何も知りません。
しかし、毎週、何百もの新しい論文が発表されています。
世界はついに、共通の敵に対して団結しました。
世界中の研究者が、
このウイルスをより深く理解するために終結しています。
ウイルスは、どのように広がるのでしょうか
どうすれば、感染を遅らせることができるのでしょうか
無症状感染者の割合は
感染力はあるのでしょうか？どの程度
良い治療法は
どのくらい生きられますか
どのような表面に
様々な社会的距離の取り方は、
感染率に どのような影響を与えるのでしょうか
そのコストは
追跡のための最善の方法とは
検査の信頼性は
これらの疑問に対する明確な答えは、
経済的・社会的な被害を最小限に抑えつつ、
可能な限り的を絞った対応をするのに役立つでしょう。
そして、その答えは数年後ではなく、数週間後に出るでしょう。
治療法を探す
それだけでなく、
数週間以内に治療法が見つかったら、どうなるでしょうか
今現在、ファビピラビル、クロロキン、
クロロキンとアジスロマイシンの組み合わせなど、
すでに いくつかの候補があります。
もし、2か月以内に治療薬が発見されたとしたら
緩和戦略に従って、
すでに何百万人もの死者が出ているとしたら、
私たちは どれほど馬鹿にされるでしょうか
費用対効果を理解する
上記の要素はすべて、何百万人もの命を救うのに役立ちます。
それで十分なはずです。
しかし、残念ながら、
政治家は、感染者の命だけを考えることはできません。
国民全体のことを考えなければならないし、
厳格な社会的距離の取り方は、他の人々にも影響を与えます。
今現在、さまざまな社会的距離が、
どのように感染を減らすのか、まったくわかっていません。
また、その経済的、社会的コストが、
どの程度なのかも わかっていません。
コストやメリットがわからなければ、
長期的に どのような対策が必要かを決めるのは、
難しいのではないでしょうか
数週間あれば、対策を検討し、理解し、優先順位をつけ、
どれに従うかを決めるのに、十分な時間が取れるでしょう。
感染者数を減らし、問題を理解し、資産を築き、ウイルスを理解し、
さまざまな対策の費用対効果を理解し、国民を教育する...。
これらはウイルスと闘うための核となるツールであり、
その多くを構築するのに数週間必要だというだけです。