https://www.cmghjournal.org/article/S2352-345X(24)00010-9/fulltext#%20

 

「腸内細菌由来の膜小胞は、

 結腸上皮細胞に DNA 損傷を誘発することにより、

 結腸異形成を誘発する」

 

 2024/02/01

 

 

 

背景と目的

 

結腸直腸がん (CRC) は、世界で 3番目に多いガンだ。

最近、腸内細菌叢が、

大腸ガンの発症に関与している ことが わかってきた。

アクチノマイセス属のオドントリティクス は、

非常に初期段階の結腸直腸がん患者の腸内に

最も多く存在する細菌の 1つだ。

 

オドントリティクスは、

大腸発がん性細菌として知られる

フソバクテリウム・ヌクレアタムと同様、

主に口腔内に存在する嫌気性細菌である。

今回我々は、結腸腫瘍形成における

オドントリティクスの生物学的機能を、新たに決定した。

 

 

 

メソッド

 

我々は、ヒト結腸上皮細胞(CEC)における

オドントリティクスによる細胞内シグナル伝達の誘導を調べた。

ヒト結腸上皮細胞 DNA 損傷レベルは、

ヒト人工多能性幹細胞由来の腸オルガノイド モデルとマウス結腸組織を、

in vivo で確認された。

 

 

 

結果

 

オドントリティクスは膜小胞 (MV) を分泌し、

核因子カッパ B シグナル伝達を誘導し、

結腸上皮細胞で過剰な活性酸素種 (ROS) も生成します。

我々は、オドントリティクスがリポテイコ酸に富んだ膜小胞を分泌し、

TLR2を介して、炎症性シグナル伝達を促進することを発見した。

 

同時に、これらの膜小胞は、結腸上皮細胞に取り込まれ、

ミトコンドリアと共局在し、ミトコンドリアの機能不全を引き起こし、

過剰な活性酸素種産生と DNA 損傷を引き起こした。

 

オドントリティクス由来のMVによる

結腸細胞における過剰なDNA損傷の誘発は、

腸オルガノイドモデルおよびマウス結腸組織でも確認された。

 

 

 

結論

 

象牙炎菌は膜小胞を分泌し、

これが結腸上皮細胞に慢性炎症と活性酸素種産生を引き起こし、

結腸直腸ガンの開始につながる。

 

 

 

 

※アクチノマイセス属のオドントリティクス:

 

オドントリティカスなどは、

歯ブラシをしてきれいになった歯の表面に最初に定着する、

いわゆる初期付着細菌として注目されています。

歯垢中でアクチノマイセスが増えると、すべてではありませんが、

歯と歯ぐきの境目や、奥歯の噛み合わせの面に

虫歯(う蝕)を作ったり、歯肉炎の原因になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

大腸がん繋がりで載せましたが、これは別の話です。