「ガンにおいて重要な役割を果たす

 IgG4 による免疫回避機構と免疫療法への影響」

 

 

 

 結果:

 

 

食道ガン患者のコホートにおいて、

ガン組織では IgG4 含有 B リンパ球と IgG4 濃度が有意に増加し、

ガン患者の血清では IgG4 濃度が増加していることがわかった。

 

 

どちらもガンの悪性度の増加と予後不良に正の関連があり、つまり、

IgG4 の増加はガンの増殖の進行と関連している ようだった。

 

 

さらに、IgG4 は、その抗原特異性に関係なく、

in vitro で がん細胞に対する

抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、

抗体依存性細胞食作用、

補体依存性細胞傷害といった、

古典的な免疫反応を阻害することを発見しました。

 

 

これらの効果は、

その Fcフラグメント(抗体の尾部にあたる領域)が、

ガン抗原に結合したガン特異的 IgG1 の 

Fcフラグメントと反応することによって得られた。

 

 

また、IgG4 は免疫エフェクター細胞の Fc 受容体に反応する際に、

IgG1 と競合することもわかった。

 

 

したがって、ガン微小環境で局所的に増加した IgG4 は、

抗体媒介抗ガン反応を阻害し、ガンが局所免疫攻撃を回避して、

間接的にガン増殖を促進することに関係しているはずだ。

この仮説は、3つの異なる免疫強力なマウス モデルで検証された。

 

 

我々は、IgG4 の局所適用により、

接種された乳ガン、結腸直腸ガン、

および発ガン物質誘発性皮膚乳頭腫の増殖が、

有意に加速されることを発見した

 

 

また、ガン免疫療法用の抗体医薬 

ニボルマブ(オプジーボ)もテストした。

これは、安定化 S228P 変異を持つ本質的に IgG4 であり、

マウスのガン増殖を有意に促進することがわかった。

これは、ガン免疫療法に関連して

新たに出現した超進行性疾患の説明となる可能性がある。

 

 

 

 結論:

 

 

IgG4 には、これまで認識されていなかった免疫回避機構があり、

ガンの微小環境において重要な役割を果たしており、

ガンの診断や免疫療法に影響を及ぼしているようだ。