ここで、注目すべきは、mRNA型ワクチンでは

極力GとCが多くなるような遺伝暗号が選択されています。

例えばロイシンという

アミノ酸を指定する3塩基の組み合わせは、4種類あります。

CUU,CUC,CUA,CUGの4種類です。

初めの2文字は共通ですが、3文字目はU,C,A,Gの4種類あります。

このときにCUCまたはCUGを選択しているわけです。

つまりアミノ酸の配列は同じでも、

塩基配列としては異なった配列で、

同じアミノ酸配列のmRNAを設計することができます。

 

 

 

mRNA型ワクチンでは極力、CまたはGが選択されています。

その結果どうなるかというと、

二重鎖のDNAが安定になるのはもちろんですが、

DNAとmRNAの二重鎖も安定化されます。

さらに、DNAとRNAの二重鎖を安定化する要素があります。

それが1-メチルシュードウリジンで、

ウリジンを全て置き換えることです。

 

 

 

こうすることによって、

DNAの二重鎖またはDNAとRNAの二重鎖は 

さらに安定化されて、

一重鎖に変換することが困難になっていきます。

これが、今回のDNA混入問題を招いた原因だと考えられます。

合成されたmRNAが

非常に強固に鋳型DNAに結合しているため、

DNase1による鋳型DNAの分解ができなかった

ということです。

それならばシュードウリジン化しなければいいのですが、

そうするとmRNAが導入された細胞が排除されてしまうため、

システムが機能しなくなります。

 

 

 

ここで、mRNAワクチンの製造プロセスを見てみましょう。

プロセスを箇条書きで書いてみます。

 

(1) スパイク遺伝子を含むプラスミドDNAを大量に製造する

 

(2) プラスミドDNAを制限酵素で切断し、環状から直鎖状に変換する

 

(3) プラスミドDNAを精製し、

   T7RNA合成酵素(T7RNAポリメラーゼ)で

   シュードウリジン化されたmRNAを合成する

 

(4) 鋳型に用いた二重鎖のDNAを、

   DNaseIで分解し、数塩基の断片にする

 

(5) 断片化されたDNAを除去して、純粋なmRNAにする

 

(6) 脂質ナノ粒子に包んで、バイアルに充填して製造完了

 

 

 

今回Kevinさんが指摘したのは、

(2)の制限酵素処理が不完全なことと

(4)のDNase1処理がうまくいいっていないことです。

制限酵素処理がうまくいかなかったのは、

一般的でない酵素を使用したからだと思います。

 

 

 

分子生物学実験でよく使用される一般的な制限酵素を使用すれば、

それらの酵素は活性が高く、かつ大量に出回っているため、

品質は安定しています。

あるメーカーのカタログによれば、

Eam104lは1500unitで価格は4万2,100円です。

一方で良く使用される代表的な制限酵素EcoR1の価格は、

25,000unitで15,000円です。

1unitあたりの価格で比較してみると、Eam104lは46倍です。

経験的に、このような酵素は、

活性が不安定で、DNAが切れたり切れなかったりします。

制限酵素処理が不完全というのも、理解できることです。

 

 

 

制限酵素処理が不完全だと、どのようなことが起きるのでしょうか。

本来ならば、スパイク遺伝子の部分だけで、

mRNA合成が終了しなければならないのですが、

割合は少ないものの

本来 合成がストップする場所で止まらないで、

プラスミドを一周してしまうような長いmRNAができてしまいます。

 

 

 

 

DNaseI処理が不完全になってしまう理由ですが、

シュードウリジン化されたmRNAがDNAに強固に結合して、

ヘテロ二重鎖またはヘテロ三重鎖を形成するため

と考えられています。

 

 

 

環状のプラスミドDNAの制限酵素処理が完全に行われていれば、

図の右半分に示した直鎖状のDNAからは

赤い矢印のスパイク遺伝子のmRNAしか合成されないはずです。

この場合には、Kevinさんがデモ動画で示した

PCR反応で増幅される部分の一つである

ori 配列(黄色の矢印の部分)には、

シュードウリジン化されたmRNAが巻き付いている

ということは考えられず、

そもそもPCRで増幅されるDNAは残っているはずはありません。

ところが実際には、この部分からDNAが増幅され、

しかもそのCt値は20以下でした。

 

 

 

制限酵素処理が全く行われていないとは考えにくいため、

ここまで到達したmRNAは ごくわずかだと思います。

それでも200万コピーとかのDNAが残存していて、

それが複数の研究者の実験で再現されたわけです。

この部分はmRNAの合成開始点から最も遠く離されているため、

決して残存してはならない部分です。

この部分よりも上流の部分は、

より大量にDNAが残存していることでしょう。

 

 

 

このことから考えられることは、

 

(1) 最も残存する可能性が低い ori 部分が

   分解されずに残っているため、

   その上流部に存在しているSV40プロモーターも、

   ori 部分よりも多く残っていることが想定される。

 

(2) スパイク遺伝子の部分は

   最も大量にDNAが残存していると考えられ、

   スパイク遺伝子全長のものも

   少なからず残存していると考えるべきである。

 

(3) 我々がmRNAワクチンだと考えていたものは、

   RNAおよびDNAのハイブリッド型ワクチンであった。

 

(4) 中途半端に切断されたDNA断片を LNPに包んでヒトに投与すると、

   DNA断片は細胞に効率よく導入され、

   その一部はゲノムDNAに取り込まれることが想定される。

 

 

 

 結論

 

mRNAワクチンの接種は全面的に中止し、

早急にDNA混入の実態を把握すべきです。

また、この製造上の問題が解決するまでは、

mRNAワクチンに関する研究開発もストップすべきでしょう。

そもそも感染症対策のワクチンとしては

致命的な欠陥がある方法ですが、

それに加えて製造できないとなったら、

mRNAワクチンプロジェクトの研究開発を行う意味はないでしょう。

 

 

 

模式図が見づらい方がいるかもしれませんので、

念のために別の形式の画像を貼っておきます。