基準が緩和された3種類の農薬とは、
どのようなものなのでしょうか。
【ジクワット】
茎や葉は枯らすが根は枯らさない除草剤として使用される
ビピリジニウム系の農薬で、
今回は、0.005mg/Lから
0.01 mg/L(2倍)に緩和されました。
植物の中に入ると
植物自身の酵素と反応して活性酸素が発生し、
細胞のDNAやタンパク質を破壊することで
その植物を枯れさせます。
その酵素は人間や動物の体内にも存在するので、
体内に入ると活性酸素を大量に発生させ、
体の各臓器で組織障害が起こります。
この成分の安全データシートによると、
・飲み込むと有毒
・皮膚刺激
・強い眼刺激
・アレルギー性皮膚反応を起こす恐れ
・臓器の障害(全身毒性)
・長期にわたる、
又は反復曝露による臓器の障害のおそれ(眼)
・水生生物に非常に強い毒性
・長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
などと記載があります。
痙攣、意識障害、白内障、
脳出血などの臓器出血を起こしやすいと言われており、
ジクワット単体の中毒患者に対して
血液透析を行ったものの、
急激な肺水腫、血圧低下を起こして死亡した例があります。
【プロチオホス】
有機リン系の殺虫剤として使われ、
0.004mg/Lから0.007 mg/L(1.75倍)に緩和されました。
経口あるいは接触によって害虫の体内に取り込まれ、
神経伝達物質であるアセチルコリンを分解して
神経伝達系をコントロールする、
重要な酵素の活性を阻害して害虫を死滅させます。
野菜や果樹、茶などの栽培で、
広く使用されているようです。
この成分を含む商品の安全データシートによると、
・遺伝疾患の恐れの疑い
・発癌の恐れ
・中枢神経系の障害
・長期にわたる、又は反復暴露により肝臓の障害
・長期にわたる、
又は反復暴露により呼吸器の障害のおそれ
・水生生物に非常に強い毒性
・長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
との記載があります。
【チオシクラム】
昆虫の中枢神経のシナプス伝達を
抑制、麻痺状態にして死滅させる
ネライストキシン系の殺虫剤であり、
0.03mg/Lから0.05mg/Lに緩和されました。
玉ねぎやニラ、ネギなどに
使用されることが多いようです。