こんな時にこそ、海上自衛隊叫び


 イージス艦と漁船との海難事故で袋叩きにあっている海上自衛隊だが、日本政府も日本国民もあまり関心のないのが、海外での日本人の被害事件である。特に調査捕鯨船については、メディアの関心は薄い様である。そこで、今回は、この件に関して記事を書きました。

 今、日本の調査捕鯨船を巡って、南極海で何が起こっているのかを知っている日本人は、関係者を含めて極めて少ないのではないかと思う。そこで、事の次第を時系列で説明させて頂くと、こうなります。
 水産庁に連絡が入ったのが3月3日であり、現地からの連絡によると、同日朝(日本時間)、南極海を航行中の調査捕鯨船団の「日新丸」が、米国の環境保護団体「シー・シェパード」が乗り組む船舶から液体入りの瓶や白い粉の入った袋を計100個以上投げつけられたというのである。その結果、瓶が割れ液体が飛び散り、甲板にいた乗組員1人と海上保安官2人の計3人が目の痛みを訴えている。
 水産庁によると、同団体の乗り組む船舶が2日午前中から日新丸の航行を妨害し始めたため、日新丸側から航行妨害を中止する様に警告し、それに従わないために放水による実力行使をしたが、約10メートルの距離までにまで接近され、3日午前7時10分から約1時間にわたって上述の暴力行為を受けたというものである。しかも、同団体の乗り組む船舶は、その後も日新丸の近くを航行しているらしい。

 水産庁は「調査捕鯨は国際条約に基づく正当な行為だ」と反発しており、同団体の活動拠点がある豪州政府などに対し、再発防止を求める方針だという。日新丸は昨年2月9日にも、同団体の船から発煙弾を発射されたり、スクリューに向けてロープを投げ入れられたりする暴力行為を受けており、乗組員2人が瓶に入った薬品を顔などに浴びて軽傷を負ったということである。この暴力行為に関して、警視庁公安部が傷害や威力業務妨害容疑で捜査を進めているとのこと。

 ここまでは、これまでに知り得た客観的事実です。
 では、ここからは、酔いどれロバさんの恣意的な、そしてほとんど独断的な戯言を書かせてい頂きますので、間違いがあればお許しのほどを、お願いします。


【海賊行為】
 お役人さまは、傷害とか、威力業務妨害とか、訳の分からんことを仰っておられますが、それは国内法に抵触する場合の話しであって、この事件の様に公海上で、しかも外国人による行為には馴染まないではないだろうか。要するに、日本のお役人さまは、何でも国内法の解釈で考えてしまう癖があるのです。日本国刑法を、米国の環境保護団体「シー・シェパード」が知ってますか。そりゃ、知らんでしょうな。法律は不知を許さずと言いますが、知っていたとして、彼らにとって「蛙の面に水」でしかありません。だが、海賊行為だとして拿捕されれば、「蛙の面に水」では済まされなくなるのです。
 そもそも、海賊行為とは「国連海洋法条約」第101条において定義されている公海上の不法行為のことをいい、海賊行為は、「人類共通の敵(Hostis Humani Generis)」とされる国際犯罪であり、旗国主義の適用による保護(アメリカ合衆国による保護)を受けることが出来ず、海賊行為に対する処罰は、公海上で海賊船舶を拿捕した国家に委ねられるとされているのである。


【海賊行為とは】
 公海又はその上空(公空)等、いずれの国家の管轄権にも服さない場所にある船舶、航空機、人または財産に対して行われる、私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客による、私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為、及びそのような行為を煽動又は故意に助長するすべての行為を、海賊行為という(国連海洋法条約第101条)。このことからして、米国の環境保護団体「シー・シェパード」が行った行為は海賊行為と言わざるを得ないのです。なお、軍艦、軍用航空機、政府の船舶又は航空機が同様の行為を行っても、それを直ちに海賊行為とすることはできない。ただし、あってはならないことだが、軍艦等の乗組員が反乱を起こして、軍艦等を支配している場合には、その行為をもって海賊行為とみなすと定められている。(国連海洋法条約第102条)


【海賊の拿捕】
 拿捕(だほ)とは、拘束と同義の言葉だが、主として船舶の拘束時に用いられています。海賊船舶・海賊航空機等の拿捕は、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所において、軍艦、軍用航空機その他政府の公務に使用されていることが明らかに表示され識別されることができる船舶又は航空機で、そのための権限を与えられているものによってのみ行うことができるとされています。(国連海洋法条約第105条・107条)


【海賊の取り締まり、処罰】
 海賊を行った者の国籍及び海賊船舶の船籍に拘らず、すべての国が取り締まり及び処罰を行うことができる。拿捕を行った国は、自国の裁判所において課すべき刑罰を決定することができ、また、善意の第三者の権利を尊重することを条件として、問題となる船舶、航空機又は財産について執るべき措置を決定できる。(国連海洋法条約第105条、公海条約第19条)


【なぜ、海上自衛隊が・・・】
 海賊行為については、公海条約及び国連海洋法条約が、すべての国が公海海上警察権や裁判権を行使できるという国際慣習法を法典化したものである。それでは、海の警察である海上保安庁に海賊の取り締まりを任すべきだとの意見が、こういった場合には必ず出てくるでしょう。ところが、海上保安庁法の規定では、公海上での海上犯罪の捜査は禁止されているのです(捜査が許されているのは我が国の領海、接続水域、漁業水域だけ)。
 では、なぜ海上自衛隊の艦船が海賊行為を取り締まることが出来るのでしょう。それは、海上自衛隊の艦船が軍艦だからです。


【軍艦の定義】
 軍艦は、他の船舶と異なる法的取り扱いがなされるため、海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)29条で厳密に定義されている。
 海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)
・第二十九条(軍艦の定義)
 この規定は、従来の慣習国際法上の解釈を明文化して、1958年に締結された公海に関する条約(公海条約)8条2項の定めを踏襲したものである。軍艦であるには、次の4要件を満たす必要がある。
 ①一国の軍隊に属する船舶であって、②当該国の国籍を有する船舶であることを示す外部標識を掲げ、③当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮の下にあり、かつ、④正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているもの。
 これらの要件からは、国際法上、軍艦はその外形や兵装により規定されるものではないことが、お分かり頂けると思います。
 また、この規定から次の様に解釈されるのです。
 海軍のみならず、陸軍・空軍等に属している船舶も軍艦たり得るのです。また、武器を装備していない船舶(例えば補給艦等)も軍艦たり得るのです。
 では、海上自衛隊の場合を考えてみましょう。
 自衛艦の場合、自衛艦旗を掲揚しており、将校名簿(幹部自衛官名簿が相当する)に掲載されている士官(艦長又はその代行者)の指揮下にあり、乗員は海賊や反乱水兵ではありません。
 この事実から、海上自衛隊の艦艇は軍艦と解釈され、国外にあっては(公海上においては)軍艦と同様の扱いを受けることになるのです。


 それでは、閑話休題を少しばかり。


 その昔、自衛隊存続賛成論者が呑み屋で管を巻いていると言うので、酔いどれロバさんが、その人が居るという呑み屋に行ったことがある。
「自衛隊なんか、要らないじゃないか」
 と、他の酔客が言うと、老齢の自衛隊存続賛成論者が、道楽息子みたいなもんだと答え、それがどういう訳か、如何にも愛おしくて堪らないという様に聞こえる。まことに、その頃の自衛隊の評判は酷いものだった。税金泥棒とまで言われている。なぜその様な自衛隊を擁護するのですかと、酔いどれロバさんは酔った勢いで聴いたのです。すると、老齢の自衛隊存続賛成論者は、この様に言ったのだ。
「道楽息子がこうなったのは、これまで周りの者が酷い扱いをしたからなのだ。それでも、何かあると救助に来て、助けてくれて、苦労して、これまでになったのです。それを、銭喰い虫だとか、なっていないなんて言えますか。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、勘当しますか。いくら道楽息子であっても、血を分けた身内じゃないですか」