駅の真ん中にぼんやり立つ梯子
高さだけはピカイチで
彼もきっとそれを誇りに思ってる
誰とも話すことなく、
ぼんやり
子供が指をさし訊きました
なんであなたはそこにいるのかと
梯子は子供の声が聞こえない
背が高すぎて
かわりに婦人が答えます
星をとるためにここにいるのだと
今日は星祭り
双子座の流星群
ちいさなほしがぽろぽろとこぼれ
きみのもとにもとどくでしょう
あそこに登ればきっと手に入る
燃え尽きる前に
子供はのぼって空を見上げた
まっくろな闇にひらひらとひかる
それらが僕らの一部であることに
子供はいつ頃気付くでしょう
流れはとまり
星は売り切れ
子供が星をとったあと
ぼんやり梯子はたっていました
折れたからだを光らせて
婦人はそうっとそばにより
足元に手をかけ言いました
秘密の言葉を言いました