今回は予定を変更して、いま世界を騒がせている話題に触れよう。

ウクライナをめぐる米国とロシアのやり取りは、トランプのポーカーゲームを見ているようだ。嘘とハッタリをかまし腹の探り合いをしている。

何年も前のことらしいが、ロシアにとってウクライナが親米政権に移行したことが、重大な意味を持つのだろう。

ウクライナの親米政権は、自国の一部が不法に占領されているとしても、NATO加盟という強硬路線を選択する前に、ロシアとの友好関係を再構築するという和平路線を考慮すべきだったのではないか。何故なら軍事力の差は歴然で、軍備の拡張には長い時間がかかり、その間に侵攻されるのは目に見えていた。

ウクライナがNATOに加盟しても、冷戦時代ならいざ知らず、現代ではロシア本土を攻撃する意図はまったくないと思うが、かつての米国のキューバ危機と同じくらい深刻にロシアの政権トップは捉えているのかもしれない。昔のソ連のアフガニスタン侵攻のように、地上部隊を使って電光石火でウクライナに侵攻し、首都キエフを落としてロシアの傀儡政権を早急に樹立したいのだが、西側との交渉の成り行きを見極める為、その実行を一時的に保留していた。

ある意味、今のロシアはソ連化している、というか、ソ連時代を理想と考え、過去に戻ろうとしている。まあ日本だって金融緩和策でバブル時代に戻そうとしていて、バブル最高、と日銀幹部は思ってるんだろう。

次にロシアは既に占領しているウクライナ国内のロシア人が多く住む東部の二つの地域を独立国として承認し、支援の名目で軍隊を派遣。実際には首都キエフを目指し多方面から軍事侵攻を開始した。西側の武器援助もあって、ウクライナ軍は予想以上に奮戦しているようだが、見通しは非常に厳しい。

昨日、ウクライナとロシアの直接交渉があり交渉継続となったが、解決には程遠い。

ロシアは当初計画した手順通りだろうが、結果的には大統領の領土拡大意欲を世界中に明示したと言える。また北方領土を日本に返還する意志がまったくないことも明らかになった。

米国は武力衝突は避けたくて、米国単独で譲歩できる範囲であればある程度は譲歩しようとしたが、NATOの盟主としての立場から、NATOの看板の前では弱腰は見せられない。とはいえ経済的制裁だけで軍事力は行使しないと明言。その意味では率直なポーカープレイヤーといえる。

はてさて、この両国のポーカーゲームいつまで続くのか。

私の予想では、ソ連のアフガニスタン侵攻が長期間続いたことから、この占領状態は少なくとも数年は続くと考えている。事実上、ウクライナ東部とクリミア半島はロシアの領土になるのだろう。

今後、ロシアは経済的政治的に中国と連携する道を邁進し、ロシアや中国、北朝鮮、シリア等のグループと、米国を含む西側諸国との敵対関係がより鮮明になって行くに違いない。

なおこの記事のタイトル"世情"は、中島みゆきの歌「世情」から拝借した。この歌の歌詞とこの記事の内容は、NieR Re[in]carnation流に言えば"共鳴する"、と私は勝手に考えている。