
散るぞ悲しき
ハリウッドで映画化されると言うことで、最近話題の硫黄島。
その硫黄島の防衛司令官だった栗林忠道中将を描いたノンフィクション作品です。
水不足に苦しみ、援護も補給も途絶えた太平洋の孤島で、いかに戦うべきか。
硫黄島を防衛するにあたり、栗林が考えていたことは、以下の2点でした。
・硫黄島を死守することで、日本全土が絨毯爆撃の圏内にはいらないようにする
・硫黄島を死守することで、アメリカの厭戦気分を高め、講和への道を促進する
しかし結局は、日本は大空襲の被害を受け、さらに講和どころか一億総玉砕の破滅への道を選択するようになります。
合理主義者でありアメリカの国力の強大さを実感している栗林、さらには部下にも家族にも優しい栗林が、多くの部下を死なせることになる必敗の戦を指導しなければならないということは、なんと残酷なことでしょう。
栗林は現実に即した戦略・戦術を駆使し、アメリカ軍と壮絶な殺し合いを繰り広げます。
戦争の悲惨さとともに、この国を守ろうと、命がけで戦い抜いた多くの日本人がいたということをあらためて認識させられました。
国の為重きつとめを果たし得て 矢弾尽き果て散るぞ悲しき
栗林忠道
精魂を込め戦ひし人 未だ地下に眠りて島は悲しき
天皇陛下 御製