質問です。
これは、なんでしょう?
では、広げてみます。
それでも分からない?
答えは、私のワンピース。
いえ、正確には元ワンピースです。
あちこちに穴が開き、糸がほつれ、からまり、もうきれいには広げられません。
ぼろぼろです。
でも、これ、長女が何よりも大切にしている物なのです。
以前、レストランに忘れてきたとき、電話で問い合わせたことがあったのですが、店員さんとのやり取りはこんな感じでした。
「ワンピース、ありませんでしたか?」
「ありませんでしたねえ」
「ぼろ布みたいなやつなんですが」
「ああ、あれですね」
「(゚ー゚;」
このぼろ布は、娘にとってのいわゆる<安心毛布>です。
マンガ「ピーナッツ」(スヌーピー)に出てくるライナスが手放せない毛布――「ライナスの毛布」とも呼ばれていますね。
娘はこれを「くちゅくちゅ」と呼んでいますが、その子によって「ふわふわ」だったり「つるつる」だったりします。
今春一年生になった長女は、小さいころ、これを肌身離さず持っていました。
寝るときにこれが見当たらないと、それはそれは大騒ぎでした。
そんな彼女も、最近はときどき忘れたまま眠りにつくように。
成長を感じます。
安心毛布への愛着とそれからの卒業は、多くの子どもが経験するようで、これをテーマにした絵本が何冊か出ています。
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まずは、入園前~年少さん向けの2冊。
①『もうふ』ジョン・バーニンガム作・谷川俊太郎訳
②『フローラのもうふ』デビ・グリオリ作・山口文生訳
小さい子のいる家庭にとって、安心毛布が紛失するのは大事件です。家族を巻き込んだ大捜索が行われます。うちも、何度か経験しました(笑)。
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年中~年長さん向けの一冊。
③『ベンジーのもうふ』マイラ・ベリー・ブラウン文/ドロシー・マリノ絵/まさきるりこ訳
幼稚園生のベンジーは、どこへ行くにも、もうふといっしょ。
おかあさんは分かってくれるけれど、ほかのみんなには「赤ちゃんみたい」といわれています。
でも、ジャンブルジムのてっぺんまで登れるようになったり、靴のサイズがひとつ上になったりしていくうちに、ベンジーは、もうふをあちこちに置き忘れるようになります。
そして、ある日、ベンジーは、ある理由から、もうふを手放す決心をします。
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そして、年長さん~小学校低学年向けの絵物語。
④アーサー・ミラー作/アル・パーカー絵/厨川圭子訳
あの有名な劇作家アーサー・ミラーが子供向けに書いた物語です。(ミラーは、マリリン・モンローと結婚したことでも有名ですよね!)
ジェインのもうふは、生まれたときから使っている、おくるみの「もーも」。
ベビーベッドを卒業しても、おしゃべりが上手になっても、背がどんどん伸びても、もーもだけは、なかなか手放せません。
ある日ベッドに入ったジェインは、もーもがないことに気づきます。
「もういらないでしょう」というお母さんに、ジェインは大泣き。
結局、お母さんは、ゴミ袋から引っ張りだしてきます。
そんなジェインも小学生になりまり、世界がぐんと広がります。
そして、ある夜、いつの間にかもーもがなくなっていること、そして、もーもなしで寝ていたことに気づきます。
もーもの最後の切れ端の使われ方が素敵です。
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そして、最後に紹介するのは、こちら。これは、外せないでしょう。絵本ではありませんが、"Security Blanket"(安心毛布)という言葉を世に知らしめた元祖的作品です。
⑤『スヌーピーとしあわせの毛布』チャールズ・M・シュルツ作/金原瑞人訳
ある日おばあちゃんから電話がかかってきて、一週間後に行くから、それまでに毛布を卒業するよう言い渡されたライナス。
ライナスは、親友のチャーリー・ブラウンやお姉ちゃんのルーシーの助けを借りて、なんとか毛布なしでやっていこうとしますが……。
なんとか毛布を卒業しようと葛藤するちっちゃなライナスも、いたずら犬のスヌーピーも、優しすぎるチャーリー・ブラウンも、とにかく登場キャラが可愛い!
*余談ですが、六本木に期間限定でスヌーピーミュージアムがオープンしましたね。
入場料が高すぎる気がしなくもないですが(グッズもいろいろ買っちゃいそうだし)、行かなければ!
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さて、娘が、「くちゅくちゅ」を完全に卒業するのはいつでしょう?
無理矢理取り上げるようなことはせず、見守っていきたいと思います。