オーストラリアでは病院に行っても薬をもらえずに返されることが多々有ります。例えば、抗生物質などは本当に必要だと医師が判断しない限り処方されません。日本の診察と違い一人の患者にかける時間が15分単位なので、薬の副作用やリスクなどについても非常に丁寧に教えてくれます。

 

決して薬が悪いということではないのですが、必要な時に必要なだけ処方するという判断基準があまりにも日本と他の先進国との間でギャップがあるように思えます。

 

安易に薬を処方してしまう医者も悪いですが、患者の意識も変える必要があります。実際に私の両親も病院に行って薬をもらわないと行った気にならないと言っていました。それどころか薬を多く出す医者=いい医者として重宝がられます。残念ながらこれがほとんどの日本人の医療に対する意識です。

 

 

日本という国は物事の本質を軽視する傾向にあるような気がします。みんながそうしているから、今までそうやってきたから、そういった基準で物事が進んでいくところがあるように思います。なぜ薬が必要なのか?なぜ飲み続けなければいけないのか?本当に薬がベストの治療方法なのか?薬以外に方法はないのか?守るべき文化と悪しき風習は全く違います。 医師はもちろんですが、患者も意識改革をしていくべきです。

 

オーストラリアでは薬や手術は体にとってリスクであるという前提で患者のトリートメントプランを立てていきます。そしてそのリスクをなるべく減らし且つ効果的な治療法を検討します。そのため、Multidisciplinary approach(多専門的アプローチ)といって医師と医療スペシャリスト(Allied health professions)が一つのチームとして一人の患者を多方面からサポートすることが一般的です。

 

 

オーストラリアで医療スペシャリストとして認められているのは以下の職種で、National Registration and Accreditation Scheme (NRAS=国家登録と認証スキーム)によって定められ、Australian Health Practitioner Regulation Agency(AHPRA)にて厳格に管理されています。

 

オーストラリア政府は2006年にNRASの設立とともに以下の7職種を医療スペシャリストとして正式に認可しました。

  • Chiropractor(カイロプラクター)
  • Optometrist(検眼医)
  • Osteopath(オステオパス)
  • Pharmacist(薬剤師)
  • Physiotherapist(フィジオセラピスト)
  • Podiatrist(足病医)
  • Psychologist(精神分析医)

 

さらに、2012年には以下の4職種を新たに認可し現在に至ります。

  • Aboriginal and Torres Strait Islander health practitioner(アボリジニーとトレス諸島民の専門医)
  • Chinese medicine practitioner(鍼灸師、漢方医)
  • Medical radiation practitioner(医療用放射線医)
  • Occupational therapist(作業療法士)

 

その他、以下の10職種に関してはNRASでの認可はされていないものの、連邦政府の健康分野における労働力政策計画にて検討されています。

  • Audiologist(聴覚学者)
  • Counsellor(カウンセラー)
  • Dietitian(栄養士)
  • Exercise physiologist(運動生理学者)
  • Music therapist(音楽療法士)
  • Nutritionist(栄養士)
  • Pathologist(病理学者)
  • Social worker(ソーシャルワーカー)
  • Sonographer(超音波診断士)
  • Speech pathologist(医療言語聴覚士)

 

医師、歯科医師、看護師、助産師以外の医療スペシャリストをAllied health professionsと言い、プライマリ・ヘルスケア・プロバイダーとして認可されています。

 

 

よくプライマリ・ケアとプライマリ・ヘルスケアを同じ意味として扱っている方がおりますが、それぞれ意味が違います。

 

プライマリ・ケアとは、「患者の抱える問題の大部分に対処でき,かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービス」を意味します。「日本プライマリ・ケア連合学会」, < http://www.primary-care.or.jp/public/q_and_a.html>2016年7月16日アクセス.

 

一方、プライマリ・ヘルスケアとは「現実的で科学的妥当性があり社会的に許容可能な方法論と技術に基づいており、コミュニティにおける個人と家族が彼らの完全な参加を通して普遍的にアクセス 可能で、自己決定の精神に基づいて発展のすべてのステージにおいてコミュニティと国が維持することが可能なコストで提供可能な、必要不可欠なヘルスケア」と定義されています。「プライマリヘルスケア」, <http://www.sakuhp.or.jp/jaih-east/?page_id=22>2016年7月16日アクセス.

 

今、日本では西洋医学と代替医療の双方の取り組みによる統合医療の仕組みそのものがフォーカスされがちですが、 単純に西洋医学以外=代替医療と一括りにしてしまうのは、患者の安全を考える上ではリスクが高くなってしまいます。

 

まずは政府が他の先進国と同様に、西洋医学以外の医療スペシャリストをプライマリ・ヘルスケア・プラクティショナーとして認可していくための教育機関を設置し、西洋医学の医師もそれらの医療スペシャリストに対して理解をしてくところからスタートするべきです。

 

日本では西洋医学以外=代替医療=なんだか怪しいというイメージがありますが、かく言う私も?と感じるものが多々あります。まずは、そういったマイナスイメージを払拭して患者自らが西洋医学と同様に代替療法を安心して選択できる法整備が最優先だと考えます。