ワークショップをやるようになってから、人手は全然困らなくなってた。
いろんな人が来て手伝ってくれるようになったから。
村には代わる代わる、自然農を学びに来る人が来るようになった。
実際には、自然農を学んだけど、自分の畑を持ってないから、週末に来て耕してくれた。
自然農って結局、自然を味方につける農法だから、地域によっても場所によっても全部違う。
だから先生によって全部違う。
結局は13種類の自然農法を実験することができた。
それで確立されたのが、いいとこ取り自然農法。
その頃には食料自給率は90%になっていた。
買わなくちゃならないものといえば、
塩とか油とか。
田んぼはなかったけど、近所の農家さんの稲刈りと田植えを手伝いにいってたので、分けてもらえるようになった。
『デュラムセモリナ』のおじいちゃんにあたる、大昔から生えてた植物。
だから肥料も農薬もいらない強い品種だ。
自然そのままの力でどんどん伸びていく。
野菜も穀物も、大昔からやってきた栽培方法でつくって、大昔から食べていたものを食べる。
それが一番体が喜ぶし、簡単に育つ。
そりゃそうだよね。
農薬とか肥料とか買わなくちゃならなくなったのはここ最近で、50年も歴史はないんだから。
例えば、にんじんを栽培しようとしたら、にんじんは育つけど、にんじん以外の草は全滅する農薬をセットで売っている。
そしたらその土にある微生物や大地のエネルギーは枯れてしまうから、結局栄養のないにんじんを培養してるだけだ。
それで日本では《普通じゃない》野菜や米やパンを食べている。
そんな大事なことを、学校や社会では教えてもらえない。
ありのまま、なるべく自然のままに植物が生まれる土を作る。
その土だから、大昔から食べてきたものが育ち、それを食べるとカラダの中の遺伝子が喜ぶ。
そして病気にもならない。
アレルギーも治る。
それを栃木の村では伝えてたんだ。
そのおかげで、たくさんの人が、次から次へと勉強や見学に来た。