ヘーゼル色の瞳で私を見透かして
あなたの肌の匂い
海の匂いみたいな
金色の稲の草原みたいな匂い
あなたとキスするときだけ
あたしは海に潜れて
人魚になれた
本当の水の中では泳げないくせに
あなたの瞳の中と
あなたがあたしの中に入りこんでいるときと
あなたとキスするときだけ
あたしは人魚になれた
虚空の温度の中を自由に泳いだ
どうしてなんだろう
うまくいかない
あなたを見ているとき
私は自分を見ていて
あなたに触れているとき
どこからどこまでが自分の肌か分からなくなるくらい
私たちの肌は似ていて
溶け込んで
あなたはわたしがずっとなりたくて
憧れていた体、そのままをしている
あなたはわたしの理想と、嫌いな姿、どちらもかね揃えてる
どちらも映し出す鏡。
だから、近寄りたい
でも同時に離れたい
あなたの目を見るとき
部屋の隅でうずくまって、泣いている小さなあなたが見えた
あなたはいつも寂しい目をしていて
いつの間にか
私はその目を見ていると、私の心は溢れて
泣いてしまう
あなたはいつも何で泣いてるのって聞く
わかんない。わかんないよ。
あなたの寂しさが伝わるから。
あなたを通して自分が見えるから
あたしの中の、寂しかった私に、共鳴しちゃうから。
私たちは似たような気持ちを抱えて
小さい体で生きていくしかなかった
あたしは、やっぱりあなたの母親代わりにはなれなかった。
ごめんね。
あなたは母親を求めていた。
そんなにも強く。
だって、当たり前じゃない?
自分を生み出した、たった一つのものを、
愛さない人なんていない
分かっていた。
私も同じだった。
だから私たちはその寂しさを共有するように
体で繋がった
いつだって
それが、一番分かりやすくて
一番感じる方法だったから。
私たちには、それが一番の近道だった。
あなたの笑顔が好きだった
心からの
安心した、楽しんでいる
その笑顔
私の名前を呼ぶ声
あなたの吐息
あなたの口や肌の匂い
舐めた味、触ったなめらかな感触
全てが新しいのに懐かしくて
あたしはすっかり安心してしまった
何度も2人で食べたインドカレー
あなたと歩いた夜の外。
私たちが会うのは、昼よりも夜の方がほとんどで、
いつだって風が気持ち良くて
空気がおいしくて
あなたと2人で 泳いでるみたいで
バカみたいにふざけて笑って
何があんなに楽しかったの?
何が楽しかったわけでもないのに
いつだって無償にわくわくした。
あなたといると
時間があまりにも早く過ぎて
時間が足らない
私たちには、いつも時間が足らなかった。
2人で満足のいくほどの時間を得ようとすると
いつも他の予定が邪魔をした。
あなたといると、時間のない世界に来たみたいだった。
時間が止まったみたいな感覚になって、
気づいたら、何時間もたっている。
あなたと沖縄の海に行きたかった
あなたと沖縄の透き通った海水の上で
ぷかぷか浮かんで
2人で笑って
ただ生きていることを謳歌したかった
あなたはもう少ししたら、私を恋しがることでしょう
俺が悪かった
俺の元に戻ってきてくれ、と。
半泣きで懇願し始めるはず。
それでも私が無視したら、あなたはどんな思いをするかな。
そして連絡を取らなくなって、しばらくしたら、あなたは、私以外の新しい女の子に、心をときめかせるのかな。
その子を口説いて、自分の家に連れ込んで、その子と熱いセックスをするのかな。
その時に、あなたが私の時より、勃起しなければいい。
そして、あなたを触るその子の手を、
私の手であれば良かったと、願えばいい。
それとも、私のことを忘れて、その子を強く抱擁するのかな。
そんなの、辛すぎるな。
私が、思い出を美化してるから?
だからそう感じるの?
あなたにされた数え切れない嫌なこと
思いやりのない行動
それで傷つけられたことを忘れているから?
わからないよ。。、。