やや旧聞に属すかと思いますが、昨年のアメリカの中間選挙の結果を受けて、少し共和党と民主党の関係、および日本との関係について書いてみたいと思います。
 ブッシュJr.大統領時代の共和党政権には、実は民主党側から入り込んだネオコン(グローバリスト)が戦争政策を主導していました。また、グローバル企業の言いなりになって自国の産業も他国の産業も潰し、そうして世界中の民を不幸にする政策は、実はそれも民主党系のグローバリストが推進してきたことなのです。
 トランプ氏のNAFTA再交渉やTPP離脱などの政策は、米国民(特にオキュパイ・ウォールストリート運動をやっていた職に就けない若者たち)にとって実はとても良いことでした。そういう自国民のためにグローバル企業には好きにさせないという姿勢(自国民第一=アメリカファースト)が、トランプ大統領誕生の大きな理由だったと思われます(大統領選当時の民主党候補の中では同じくグローバル企業を批判していたサンダース候補も大人気でした)。
 ただトランプ氏は、ウォール街(グローバル企業群の象徴)に掣肘を加えたいあまり軍産複合体には甘い顔を見せるため、銃規制が出来なかったり戦争政策に積極的な姿勢を見せたりすることがあります。それに自国産業保護のために主にメキシコからの移民を規制をすれば分断を生み出すと批判されることになります。そうしてトランプ人気が衰えればウォール街からの要請も無視できなくなり、アメリカ言いなりの日本からFTAにより色々分捕ろうという政策に至ります。このFTAを始めとするグローバル企業の動きについては『日本が売られる』(堤未果著・幻冬舎新書)を読んでいただきたいと思います。また同書については以前ココでも記事を書きました。本当に恐ろしい事態が進行していますので、どうか遡って記事を読んでいただければと思います。何度も言いますが、「EPAで輸入チーズやワインが安くなる」とか「FTAでは車の関税をどれだけ安く抑えられるか!?」みたいな貿易の関税の話題にばかり注目が集まりますが、実は非関税障壁の撤廃こそが恐ろしいのです。「グローバル企業の投資を妨げるような規制は撤廃せよ」ということです。水道事業の民営化については知られるようになってきましたが、ヤバい話はまだまだあります!

 


 結局トランプという矛盾をはらんだ男は、正しいことをやろうとしてもやり方が馬鹿すぎて叩かれるという不幸な奴なのであり、またアメリカという覇権国家のシステムは最早日本を始めとするアメリカに逆らえない国の民から収奪する以外に方途が無くなっている状態なのでしょう。結局アメリカで民主・共和のどちらが勝っても、格差が拡大し、日米両国とも下流の民が不幸になり、富裕層だけが良い目を見る構造なのです。タックスヘイブンやパナマ文書事件を見れば判るように、富裕層は何代にもわたって富裕層であり続けるわけです。
 だから日本は、政治的にも外交・軍事の面でも早くアメリカから独立しないと本当にヤバいのですが、今の日本のトップがトランプの忠犬・安倍晋三ですから本当に地獄です。
 ゆえに、日本政府が日本国民を不幸に陥れる従米的・売国的政策を進めていたら、「それ、違憲ですから!」と言って改めさせる「憲法裁判所」が是非とも必要なのであり、そのためには立憲民主党の山尾志桜里議員が進めている「立憲的改憲」構想に全国民が注目すべきだと考えます。なお、「憲法は一文字たりとも変えさせない」と護憲だけを訴えていても、安倍による従米度を深めるための改憲が通ってしまうことはココで何度も訴えてきたとおりです。