今回は個人的には木曽パートに尽きました
もう語りたいことといえば、木曽殿とその周辺のことだけです
あとのことはわりとどうでも良かった……。
疫病神がやってきた
伊豆に戻るという時政を、子どもたちが総出で止めようとしますが、時政はすべてが嫌になってしまったといい、あくまでも伊豆に帰ると言います。
泣きわめいて止めるかと思ったりくさんが、さらりとそれに従い、
「しい様。鎌倉殿の前で私を庇って下さり、嬉しゅうございました。凛々しゅうございましたよ」
と言ったのが意外でした。
野心ギラギラのりくさんですが、時政パッパへの愛情は本物だったらいいなあ……。
でないとパッパがあまりに可哀想過ぎます
叔父の行家が再び鎌倉にやってきます。
令旨をもたらした自分の功績を認め、所領を与えよと言うのです。
頼朝は、そもそも義円が死んだのは行家が無謀な戦に巻き込んだせいだと糾弾し、二度と鎌倉に足を踏み入れるなと言い渡します。
怒った行家は、「木曽の義仲のもとへ行く」といい、後悔するなよ、と捨て台詞を吐いて去っていきます。
それを見て、「善児ー!、善児! ちょっと来て!」って言いたくなった、木曽推し勢。あの者を木曽に行かせてはならぬ!!(ノД`)・゜・。
でも、義円の件はどっちかっていうと行家よりも九郎が原因だよね
信濃幕府をつくろう
そして今回、いよいよ登場した青木崇高さんの木曽義仲公。
この見た目から信濃の野生児的なワイルド系かと思いきや、作中で随一といっていいほど思慮深く、礼儀正しく、情に厚い素晴らしい人でした
頼朝を見返したい一心で上洛を勧める行家を、叔父として丁重に遇しながらもその口車には乗らない。
その場に同席を許されていることから、今井兼平、巴の二人が義仲にとって最も気を許した側近であることが分かりますが、二人とも必要以上には口を挟まず、控えています。
町田悠宇さんの今井兼平。
出番が少ないにも関わらず、存在感がありました!
義仲の後ろで決して出過ぎずに、でももし客人が殿に危害を加えるようなそぶりを見せればいつでも飛び出せる、みたいな静かな迫力を感じさせる最高の兼平でしたね。
秋元才加さんの巴も、最初見た時は「眉毛……なんで……」という印象しかなかったのですが、実際に動いて話してるところを見ると、声がよく通って綺麗だし、立ち居振る舞いがキビキビしていて美しく、とっても素敵でした
よーし、今年はこのまま信濃幕府つくっちゃうぞーーー
……っていう展開でもいいんですよ。
もう出家すりゃよくない?
三浦義澄・義村父子が伊豆に時政を訪ねてきます。
義澄は、鎌倉殿に物申した時政の株が御家人のなかで上がっている、それに対して頼朝の株は下がる一方、このままでは上洛どころではないと言います。
一方、小四郎は相変わらず八重さんのもとへ通い詰めていました。
前回、あそこまで言われたのにメンタル強いな……。
小四郎がもってきた海の幸、山の幸満載の手土産を見てドン引く八重さん。
気持ちは分かるけど、そんなに迷惑なのにどうして八重さんはいつまでも出家もせずにここにいるんでしょうね
「源氏物語」の昔から、弱い立場の女が迷惑な懸想から逃れるには出家するのが常套コースなんですが
それもしないで、「えー、やだ。こわーい」って、もう頼れる父も兄も夫もない立場で、八重さんは相変わらず浮世離れして見えます。
どんなに悲境に陥っても傷ついてるように見えないんだよなあ……。
呪術〇戦?
上洛するにあたって、奥州の動向が気になる頼朝は、修験者を呼んで藤原秀衡を呪い殺させようとします。
やってきたのは、かつて頼朝に挙兵を勧めにやってきた文覚でした。
護摩壇の前で祈祷バトルになる文覚と全成。
一生懸命、夫に加勢しようとする実衣ちゃん可愛い
それはそうと、あの九郎が大好きな御館が呪詛されたことを知ったら全成も文覚もただでは済まないと思うんですが……。
いずれにせよ、頼朝という大きな後ろ盾が亡くなった後、人を呪い殺せる能力がある、なんて事実を知られていることは全成にとっても実衣にとっても災いにしかならないだろうなあ
鎌倉殿にもの申す!!
信州に進軍するという話を聞いた御家人たちの間で、これまでの不満が爆発します
「俺たちは鎌倉殿の命ならなんでも聞くわけじゃねえんだ!!」
って2回言いに来る岡崎殿、可愛い
前回、見栄えが悪いって言われて馬引き役出来なかった千葉殿も可愛い
もうこのドラマの癒し枠はこのおじ様たちだわ~。それ以外にない。
それに比べて比企殿は、もうすっかり坂東武者たちとは距離をおいて頼朝陣営ですね。これは確かに他の御家人たちに嫌われるかも……。
上総介さま、まだ武衛って呼んでるの可愛い
でも、坂東武者たちに高飛車に振る舞いながらも、強気で押し切ることもしきれない頼朝の難しい立場を一番分かってくれてるの上総介さまですよね。
ハニートラップから始まる恋もある?
小四郎と範頼が、信濃へ行くと聞きつけて自分も連れていけという九郎。
もうこれただの異常者じゃん(;´Д`)
やっぱり亀ハウスを燃やしたのは、ただ単に自分が暴れたかっただけか。
「止めても行くのであろう」って送り出した平泉の御館。
義経たちが見えなくなってから、みんなで祝杯挙げて大喜びしてたんじゃ……。
時政パッパがいなくなったことで、今のうちに鎌倉での地位を確固たるものにしようと目論む比企夫婦。
万寿の成長をただ待っているのではなく、その間に源氏に取り入ろうと考えます。
「北条のように。ぐい、ぐいと」
と言って夫のほっぺたを押す道さんが可愛かった~
比企夫婦は、信濃へ出立前の範頼、義経を呼び出し、一族の娘たちと引き合わせます。
里は河越重頼の娘で、つねはたぶん安達盛長(藤九郎)の娘?
生母が比企尼の娘なので、ここでは比企一族の娘として登場したようです。
藤九郎はこのこと知ってるのかな?(;゚Д゚)
範頼は、鎌倉殿の許可なく勝手なことは出来ないと席をたちますが、九郎は里の横顔に釘付けに。
翌朝、集合場所に来ない九郎を置いて小四郎たち一行は信濃へと出立します。
一方、九郎と里はまさかの朝チュンΣ(゚Д゚;
いや、比企殿にとっては狙い通りなんでしょうが、亀とはちがってれっきとした御家人の娘さんがこんな遊び女みたいな扱いからの始まりでいいんでしょうか
っていうか、鎌倉殿の許可なく有力御家人(よりにもよって跡継ぎの乳父!!)と縁組したってことの方が問題のような気が
本作だと、郷御前の方が静御前よりも先に義経と出逢っていた展開にするんですね。それは新しいかも。
三浦透子さんの里の、はだけた着物からのぞく白い脚と「九郎殿?」と呼びかける声が色っぽかった~
源氏の嫡流の血
信濃の木曽義仲の陣に到着した小四郎、範頼、平六の三人。
わざわざ出てきて、
「逃がした魚は大きいぞ」
と憎まれ口を叩く行家に「叔父上だから」と挨拶に行く蒲殿、イイ人……。
でもこのドラマに出てくるイイ人は皆さんロクな目に遭っていないんですよね
戻ってきた義仲は、自ら獲ってきた川魚を焼いてもてなしてくれます。
「源氏が一つになり平家を滅ぼす。これが俺の望みだ」
という義仲。
「口だけなら何とでも言える」
「平家と通じておるという噂がありますが……」
という平六と小四郎に、
「噂とは流すものに都合よく出来ておる。惑わされてはならぬ」
と返す義仲。
この場面、「小四郎たち、ちょっと失礼過ぎない?」ってイライラしちゃった。
そもそもなんで家人の立場の平六と小四郎が木曽殿に直接口利いてるのか。
源氏の御曹司に対して対等に口を利いていいのは、このメンバーの中なら頼朝の異母弟の範頼だけでしょー
頼朝もそう思って、わざわざ使者に範頼を指名したんじゃなかったのか?
と思ったけど、小四郎はただの御家人代表じゃなくて御台所の弟──頼朝の義弟としてここに来てるのかな。だったら分からないでもない……のか?
でも皆が話してる横でお魚モグモグしてる範頼さま可愛かった
「鎌倉殿は平家と通じておらぬ証に人質を差し出せ、と仰せです」
という小四郎。
「行家殿ではどうでしょう?」
という台詞には苦笑してしまいました。
平六の言うとおり、人質になるわけないじゃん!
「叔父上は渡せん」
という義仲さまに
「ここだけの話……あの方はお守りすべき御方では」
という小四郎。それも御家人の立場でかなり失礼(-"-)
「どんな男かは関わりない。俺は自分を頼ってきたものを追い出す真似は出来ぬということだ」
と言う義仲さま。
「……息子でいい」
と嫡男の義高を人質として送ると言います。
「ご嫡男を!?」
「行家殿と実の息子を秤にかけて行家殿を選ばれると?」
「男には守らねばならぬものがある」
「見返りには何を?」
「何も要らぬ。これが俺のまことだ」
と、殿ーーーーーー( ;∀;) 一生ついていきます!!
父と子
弓の手入れをしている義高に声をかける義仲。
「父上」
「……おう」
台詞はこれだけなのですが、表情や声音から義仲さまがこの嫡男をどれほど愛していて、誇らしく大切に思っているか。
そしてその息子を鎌倉にやることにまったく躊躇いがないわけではない苦しい義仲の心情が痛いほど伝わってきます。
青木崇高さん。これまで、わりと元気で賑やかな役が多いように思いますがこの義仲の、ぐっと抑えた落ち着いた演技もめちゃくちゃいいですね~
義仲さまのためにヤツメウナギをとる支度をしている巴御前に話しかける小四郎と平六。
「色恋はとうに捨てた。私はあの方に終生尽くすことに決めている」
同じ台詞を八重さんや亀が言ったとしても、「なんで……?」としか思わないのに、説得力が半端ないのは想われる側の違いでしょうね
巴御前の義仲へ向ける見返りを一切求めない一途な想いを知った小四郎は感銘を受けます。
「手伝います」と嬉しそうに後を追うも「触るな!」と塩対応の巴御前。
そりゃそうですよね……。
人質のこととか持ち出したあとで、どういう神経で巴御前にこんなにニコニコ親し気に出来るのか。首捻じ切って捨てられろ。
義高を、小四郎と平六に引き合わせる義仲。
……っていうか、範頼さん、ずっとOPPなままなのか( ̄▽ ̄;)
「父上のためならどんな苦労も厭いません」
という義高。
その肩を抱き、
「父を信じよ」
という義仲さま。
見つめ合う視線にお互いへの信頼と愛情、尊敬の念が通い合っているのが伝わってきます。
義仲さま主役の大河だったら今回のサブタイトルは「父と子」だな
もうここからパラレルワールド的に、サブチャンネルで木曽大河を流してくれてもいいのよ。もちろんラストは信濃幕府爆誕で!(それは大河じゃないだろ……)
妻VS愛人 直接対決
小四郎たちが信濃に行っている間に、こっそり亀の隠れ家を訪れる頼朝。
が、そこには政子が来ていました。
コソコソと引き上げる頼朝。
初めて直接対峙した二人。
亀は自分は身を引くといい、政子に鎌倉殿の御台所として相応しいよう教養を身につけ、自分を磨くように言います。
「私だって文筆を学んだのよ」
という亀が諳んじてみせたのは和泉式部の歌。
この場面、江口のりこさんも小池栄子さんもとても綺麗で、ここだけ見たらいい場面みたいでしたが、その前に亀が八重さんにした嫌がらせとか見ているので素直に、「亀、かっこいい。いい女~」とは思えなかったな。
実家が没落して侍女として仕えている元妻をわざわざ寝所に呼んで見せつけるって相当えぐいよ
亀は王朝文学読む以前に、もうちょっと礼儀とか言葉遣いとか学ぶところがあるような気がします
その点、政子は教養の点では及ばなくても鎌倉入りする時に身なりを整えて頼朝の望む夫婦の再会シーンを演出したり、口先だけとはいえ八重さんに「ともに佐殿をお支えいたしましょう」と言ったり、すでに十分、御台所の資質を備えていると思いますけど。
亀のところから虚しく引き上げた頼朝は、江間の八重さんのところへ。
今でも八重さんが自分を慕っていると信じて疑わない態度で上がり込み、抱き寄せようと伸ばした手を思いきり噛まれます
いや……普通に払いのければいいだけなのに噛むか( ̄▽ ̄;)?
ほんと八重さんのパートは小四郎との場面も頼朝との場面も、「それ、面白い?」って言いたくなるような場面ばかりです。
個人的に笑いのツボがズレてるんだろうな……
初恋ついに成就?(紀行で)
ツボがズレてるといえば、ラストの小四郎の
「私と八重さんは幼馴染。あの頃から私の想いはずっと変わりません。私はそれを大事にしたい」
からの八重さんの
「おかえりなさい」(ニッコリ)
の場面も、まったく心が動かなかった(;一_一)
いや、ガッキーの笑顔は眩しいくらいに可愛かったけどね。ほんとそれだけ。
ああ……そう。長々とかかったね、そろそろくっつかないと泰時生まれないもんねって思ったくらい。
なんでこんなにときめかないのかなあ、と考えてみたら、この二人、お互いのことを想っているっていう感じが全然しないんですよね。
まあ、八重さんは実際好きじゃなかったんだから仕方ないんですけど、
「ああ、小四郎はほんとに八重さんが好きなんだなあ……」
としみじみ思える場面が個人的にはなかった。
ただストーカーチックな振る舞いが延々とコミカルに描かれていただけで、それはそれで楽しかったけれど、その結果、結ばれて「ああ、良かったね。感動」とは思えなかったなあ
そして分かっていたこととはいえ最後の紀行の「義時の妻となった八重が……」の衝撃よ
いや、例えば「麒麟がくる」の帰蝶さまが「織田信長に嫁いだ……」と紀行で語られても、「えーーー! 十兵衛と一緒になるんじゃないの!? ネタバレ!?」と思う人は少ないでしょうが、八重さんはここまでくるとほぼオリキャラなので、ちょっとびっくりしました(^^;)
感想まとめ
小四郎の、頭がよくて人が好いけどちょっと抜けてるキャラクターを初回からずっと可愛いと思って見てきましたが、今回は初めてそこにイライラしちゃいました
義仲さまはご子息と叔父上を天秤にかけたんじゃない。
男として、源氏の御曹司としての誇りと信念を守るために、自分を頼ってきた叔父を追い出せないという決断を、断腸の思いでなさったのよ。苦渋の決断なのよ!
そんな苦しいご決断を迫っておきながら、
「ほんとにいいの?」
「息子が可愛くないの?」
みたいなその態度。
ほんっと、なんだ、おまえら!!!(゚Д゚)ノ
そんなこと言うならとっとと行家叔父さんを連れて帰ってよ。
木曽殿には二心なし、信頼の出来る御方です、と頼朝に報告してきなよ。
それで頼朝を納得させられると本気で思ってるの?
それも出来ないのに、自分たちは親切で優しいみたいな顔しちゃって
「ご安心ください。源氏同士で争わぬ限り、無事にお帰りになれます」
という小四郎の首を背後からヤツメウナギで締めてやりたくなったよね!
なーにが源氏同士で争わぬ限りだよ。
むしろ、源氏はこれまで同族同士で争ってばっかりじゃん!!
義仲さまの父上、義賢さまを殺したのは頼朝の兄の悪源太だし、頼朝パッパの義朝さまは実の父と兄弟、処刑してるじゃん!
この間、上総介殿がバッサリやっちゃった佐竹さんも源氏じゃん!
義仲さまが「父を信じろ」と言いながら、どこか苦しげなつらそうな表情をなさっていたのは、自分のことは信じていても頼朝のことは信じていないからだよね。
ハアハア……すみません。木曽の皆さんが好きすぎて今回取り乱しております。
小四郎も平六もそこまで悪いことしてないです……たぶん。
ただ、私が木曽勢が好き過ぎるだけなの……
平六のやたらと女性に声をかける設定もあんまり好きじゃないな~(;´Д`)
どうせ今回も巴御前をオトしたら自分は義仲さまを越えるとか思ってるんでしょうけど、仮にも三浦家の跡を継ぐ惣領息子がそんなリスキーなことするわけないじゃん。
巴さまに寄るな、触るな、話しかけるな、と思っちゃった。
私が何故にそこまで本作にハマれないのかについて、つらつら考えてみた結果、本作はあくまで
「鎌倉殿と御家人たちが幕府という武士の都を作り上げるまでの物語」
で、北条義時──もしくは源頼朝の人生を描くドラマではないんですよね、たぶん。
もちろん、ストーリーが進んでいくうえで小四郎の成長や変化が描かれることはあるでしょうが、それがメインではない。
むしろ、一人一人の心情に入り込み過ぎると全体像が描きづらくなるから、あえて誰の心理にも深く入り込まずに、喜びも悲しみも、過剰に盛り上げずにサラサラと流していっているのかな~と思いました。
まあ、この時代は本当に心が打ちのめされるような悲劇イベントが多すぎるので、いちいち深堀りして書いていると物凄く鬱展開のドラマになってしまうんだろうなあ……。
そんななかで、木曽義仲と息子の義高の関係、義仲に対する巴御前の想いは、本作のなかでは珍しく、人が人を想う心が感じられて、心打たれる場面でした。
だから、三谷さんはそういった関係性も描けないわけじゃないんですね。
だから鎌倉パートの人間関係の、乾燥気味のサラッとした人間描写も狙ってしていることなんでしょう。
でも真田丸の時もそうだったけど、そう思って見ていると後半怒涛のカタルシスがやってくるのが三谷大河の分からないところで、魅力だと思います。
ああ、それにしても今年のキャストで木曽義仲大河このまま撮ってくれないかな~。