時間が癒すことのない心の傷
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白い時間

どれ位の時間が過ぎたのだろう


涙は止まることを忘れた


眠ることを忘れた


そして気づかぬうちに心は傷付くことを忘れた



お通夜からお葬式までの日々を全く思い出せない


気が付くと自宅の和室で皆で泣いていた


それはまるで猫が集団で暖をとるかのように皆で丸まって・・・互いにぬくもりを感じないと不安だった


かなしい事に母が死のうと世の中は何もかわるなくこと時間を刻んでいった


例外なく私達の時間も過ぎていく


付いていけないのは私達の心だけ


こんなにも私達の周りは変わってしまったのに、心は変わってしまったのに、家の外にでれば誰もが普段と変わ


らず普通に歩いている


その不安定な毎日についてはいけなかった


それでも時間は刻まれる


悲しいかな、うれしいかな、虚しいかな


刻まれる

ママへ

ママへ

本当の事が知りたいです

お父さんに出会って後悔していませんか?

私たちを産んでよかったですか?

あなたは幸せでしたか?

生まれてきて幸せでしたか?

私には全てがもう分かりません

私は生まれてきて良かったのでしょうか?

本当の事が知りたいです

真実が知りたいです

私には全てがもう分かりません

人から恨まれて憎まれて生きていくのはのは辛いです

でも人のこと恨んで憎んで生きていくのはもっと辛いです

人のこと本当に嫌いになるのは難しいです

でも人のこと許すのはもっと難しいです

人のこと心から愛するのは難しいです

でもひとに心から愛されるのはもっと難しいです

自分で死ぬのは怖いです

でも生きて行くのも怖いです

人から信じてもらうのは難しいです

でも人を信じるのはもっと難しいです

私は自分勝手です

でもママはもっともっと自分勝手です

本当の事が知りたいです

あなたは幸せでしたか?

私たちは幸せになれますか?

生まれてきて良かったと思える日が来るのでしょうか?

皆心から笑える日が来ますか?

私には全てがもうわかりません

明日が怖いです

いつまでも続く真っ暗闇を歩くのに少し疲れました

あなたに会いたいです

抱きしめて欲しいです

母になった今、恋愛をしてきた今ならあなたを救う事ができましたか?

抱きしめてくれる手が今ここにありましたか?

温かい空気が今ここに漂っていましたか?

あなたに会いたいです

抱きしめて欲しいです

けんかしたいです

あなたの作るご飯が食べたいです

あなたの声が聞きたいです

時間が癒してくれない事もあるんだと身にしみて感じます

あとどれだけの時間が過ぎれば心の涙は止まりますか?

あとどれだけのものを失えば心の傷は癒えますか?

私には全てがもうわかりません

本当の事が知りたいです

あなたはわたしを愛していましたか?

母になった今こんな私でも我が子は宝です

分娩台の上で思いました

あなたが許せないと

子が初めて笑った時思いました

あなたが許せないと

子が初めて寝返りをした時思いました

あなたが許せないと

子が初めてハイハイした時、つかまりだちした時、歩いた時、話した時、走った時、ジャンプした時、思いました

あなたが許せないと

あなたに会いたいと


夢のようなその現実

電話がなるとそれまで皆の鳴き声を通り越した嗚咽であふれていたその空間は一瞬にして静まり返った




電話に出た叔母は短い会話の後力なく座り込んだ・・・というより崩れ落ちたという方が適しているだろう




そして独り言のようにつぶやいた














「ママだめだったって・・・」











そしてその瞬間また堰を切ったようにその空間は皆の泣き声で溢れ返った












しばらくして母が家に帰ってきた






帰ってきた母は冷たく、かたく、現実とは思えなかった





慌しく布団に寝かされ、気がつくとお通夜の用意が整っていた





布団に寝かされた母は血の気こそないものの普段眠っている姿と何も変わらず、回りを囲むお通夜ようの飾りが




ひどくこっけいに見えた




続々と母の友人や私達の友人が訪れ、ふと、漠然と思った






「あぁ・・・これは夢じゃないんだ」


そして電話は鳴ったんだ

泣き叫ぶ兄弟




母の名を叫ぶ父




怖かった




兄弟の鳴き声も、父の叫び声も、そして宙に浮かぶ母・・・すべてが怖かった







父が母を抱き持ち上げた




私はとっさに台所から包丁を持ってきてタオルを切った







床に下ろされた母はまだ温かく、助かると思った






必死だった





いつかテレビで見たことのある人工呼吸をみようみまねでした




ままごとのような人口呼吸




ただただ必死だった




その必死さとは裏腹に母の口から漏れてくるのはブガブガというたよりない音と胃の中の消化物の匂いだけだった





助かるかもという淡い期待はその現実に消え去った




それでも一生懸命息を吹き込み続けた




しばらくして救急隊員が到着した




母を搬送していく隊員に私はすがった





「お願いママを助けて」声にならなかった




そのときの隊員の顔を私は昨日の事のように鮮明に思い出す




悲しそうな申し訳なさそうな・・・泣きそうな顔





その顔をみた時に私は直感した












母はもう助からない







父が病院に連きそい、入れ違いで母の姉が到着した




寝起きでパジャマ姿の伯母




皆ずっとずっと泣いていた















どれ位の時間がたっただろう




実際はたいして長くない時間だっただろうその時間は永遠に続くかと思うくらいに長く長く感じられた








・・・・・・・そして電話は鳴ったんだ・・・・


忘れられないあの日・・・

蒸し暑い8月のあの日





私の心には大きな大きな穴が開いたんだ












「お母さん!!!!!!」




家中に響く兄の悲鳴にも似た叫び声にただごとではないことは寝起きの頭にも瞬時にわかった




2階で寝ていた私は階段を滑り落ちるようにリビングへ降りた










そこで目にした光景は14年たった今でも鮮明に夢に現れ私を苦しめる






























階段の手すりにタオルをかけ・・・・・・・・・・・


































母が首を吊っていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・