僕らの日々 19 | ナツコのブログ

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にのちゃんが大好きです。
かわいい大宮さんを愛でております。
大宮さんのお話(腐です///)なども書いております///♪

ヘッダーアイコンはあみんさんよりお借りしております♡

 

 

大宮さんの恋物語です。

 

毎日20時更新予定です。

 

ではでは・・・どぞ・・・。

 

 

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Side.N

 



さっきとは別日設定のため。

僕はスーツを着替えネクタイを変える。

おーのさんはワイシャツ1枚になる。

終業後で・・・天気は雨。

会社のある建物の1階ロビー。

傘がなくて困る僕。

駅まではたいした距離じゃないんだけど。

この後に人と会うので濡れるわけにはいかない・・・という事情を抱えている。

そこへ。

おーのさんがやってきて。

傘を貸してくれる・・・というシーン。

おーのさんはもうすでに。

これまでのシーンで・・・僕を特別視して気持ちが少し傾いている。

僕はというと。

少し遅れてこの雨のシーンで。

優しくしてくれたおーのさんを特別視することになるから。

この雨のシーンは大事な場面になる。

そう・・・つまり。

今度は僕がおーのさんにきゅんとなるシーンだった。
















実はもう。

僕とおーのさんの代役で。

カメリハは終わってるから。

ここからの本番はほぼほぼ一発撮り。

おーのさんは雨にも濡れるから。

できればNGは避けたい。

 

さっきとは反対。

 

僕がNGを出すわけにはいかないんだ。

一度だけ・・・深呼吸。

僕のスタンバイ位置からはおーのさんは見えない。

代役の人が・・・僕の動きを再度教えてくれる。

とはいっても僕は。

ここではほとんど動きはない。

ほぼほぼ受け身。

でも大事なシーン。

心が。

おーのさんへと傾くシーンだった。



  よーい!



スタッフさんの声で。

外に雨が降らされる。

おーのさんが濡れる雨。

僕はロビーにいるから。

濡れない。

 

街路樹が・・・大きく揺れている。


















  スタート!



エキストラさんたちが動き始める。

カメラも寄ってくる。

そして。



  「どうしたの?」



おーのさんが。

僕に声をかけた。

あれ・・・。

なんか。

いつもよりちょときりっと見えて。

少しだけ。

どきっとする。

ちょっと低い声で。

落ち着いた演技をするおーのさん。

多分・・・僕への思いを。

僕が気になっている・・・っていう思いを少し出している感じなんだろう。

じっと・・・見つめられる。

こんな・・・感じなんだ。

攻めの演技をするおーのさんを。

初めて見た気がする。

視線を・・・外さないおーのさん。

強い視線のおーのさんの瞳が。

ダイレクトに心に刺さる。

僕は・・・見たことないおーのさんにちょっとどきっとしたまま。

演技を続けた。


















「ぁ・・・傘が。なくて・・・。」

「・・・そっか。けっこう降ってるよね・・・。」

「はぃ。まあでも別に走ればいいんですけどね・・・。」

「・・・。」

「人と会うんで・・・このあと。濡れてたらみっともないから・・・。」

「あ。じゃあ。」

「・・・ぇ?」




すっと。

持っていたビニール傘を。

僕に・・・僕の手を取り持たせる。

触れる手・・・が。

熱い。



「これ。使って。」

「ぇ・・・でも。」

「俺はいいから。じゃあ。」

「・・・ぁ・・・。」



とん・・・と僕から。

軽くステップを踏むかのように一度離れると。

おーのさんがさっと身を翻した。

たっと小走りになると・・・すぐそこの。

 

開きかけた自動ドアから半身を滑りこませロビーを出て。

鞄を頭にかざすと一瞬も躊躇せず。

そのまま颯爽と・・・雨の中へと走って行ってしまった。
















その動きが流れるように。

あまりにもスマートで。

走る姿が・・・なんかすごくかっこよくて。

演技・・・じゃなくて。

ちょっときゅんとして。

そして・・・本気で見惚れた。

おーのさんって。

こんなにスタイルよかったっけ・・・?

カメラが近くに寄ってきていたけど。

僕は。

走っていくおーのさんから目が離せなくて・・・。

ついさっき。

肩をもんであげて。

記者さんとぎこちない会話をしていたおーのさんじゃなくて。

今・・・ここにいたのは。

ちょっと。

僕の知らない大人の男のおーのさんだった。

本気出したおーのさんの静かな演技。

多分今回の映画撮影で・・・初めてのおーのさんからの攻めの動き。

受け身の僕。

・・・。

・・・。

 

傘を持つ手が熱い。

まだ少し・・・ドキドキしている。





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つづく