大宮さんのBLです。
苦手な方はご注意を。
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あれからみんな成長し。
でも・・・中学は一緒だったり。
高校もバラバラの人もいたけど近い高校で。
子供の時みたいに・・・べったり・・・というわけではなくて。
それぞれに友達もできて・・・遊びも違ってきたけど・・・でも。
それでも時々五人で会っていた。
例えば夏休み。
市民プールやお祭り。
秋の神輿。
年越しの初もうで。
いわゆる地元の友達・・・の僕たちは。
会えば一瞬で幼い頃に戻り。
すぐに夢中になって遊び始めた。
その時々で・・・五人で・・・とか。
二人や三人や四人の時もあったけど。
やっぱり僕にとって四人は・・・特別な存在だった。
まーくんは・・・小学生の時に同じリトルリーグに所属して。
一緒に野球を楽しんだ。
運動神経抜群のまーくんは・・・上級生を差し置いてレギュラーを勝ちとっていて。
そんなまーくんが・・・僕はとても誇らしかったんだ。
フライが上手く取れない僕に付き合って。
いつもいつも遅くまで・・・一緒に自主練をしてくれたまーくん。
「いいよ和!すごいよ!うまいね!」って。
まーくんに言われると。
すごく自信がついたんだ。
そして。
自主練が終わる頃・・・・お絵かき教室から帰ってくる智とちょうど一緒になり。
いつも三人で帰ったこと・・・思い出す。
潤君とは同じ歳だから・・・二人で遊ぶことも多くて。
あれは確か・・・中学最後の夏休み。
智も翔ちゃんもまーくんも都合が合わなくて。
二人きりで地元のお祭りに行った時。
潤君と僕は・・・隣町のワルで有名な高校生二人組に絡まれた。
神社の裏に連れていかれ。
殴られ・・・突っ伏した潤君。
僕は・・・浴衣を引っ張られ引き倒された。
裾をたくし上げられ乗りかかられた時に・・・何をされるのか察しがついて。
あまりの恐怖に動けなくなった。
すぐに潤君が助けに来てくれたんだけど。
軽く払いのけられ。
もう一人に羽交い絞めされる。
それでも・・・それを振り切り。
「和っ!和っ!」
・・・と何度も何度も僕を助けようと立ち向かう必死な潤君。
そんな潤君を見て・・・声を聞いて。
僕が潤君を守らなくちゃ・・・と我に返る。
深呼吸をして冷静になり。
僕を襲っているヤツの・・・意識が潤君へ向いた瞬間。
そいつの腕に・・・僕は思いっきりかみついた。
痛がるそいつを下から渾身の力で蹴り上げ起き上がると。
潤君を引っ張り起こし。
そのまま二人で・・・人のいるほうへと全力で走る。
大勢の人がいる屋台の横。
香ばしいソースの匂いがするその場所で。
怖い思いさせてごめん・・・と。
弱くてごめん・・・と。
潤君はちっとも悪くないのに。
鼻血で血だらけの顔で。
謝りながら僕より先に大泣きするから・・・。
泣き虫の僕よりも大泣きするから・・・。
だから僕は泣けなくなって・・・ただ泣きじゃくる潤君をぎゅっと抱きしめたんだ。
それ以来・・・僕は。
自分がそういう対象になりうるってことを理解し。
危機管理にすごく気を付けるようになったし。
潤君は・・・高校生になってすぐに。
格闘技を習い始めた。
強くなりたい・・・と。
そう言って。
翔ちゃんとは・・・同じ高校で。
それが・・・翔ちゃんはとても嬉しかったみたいで。
僕が入学してすぐに。
「こいつ俺の弟みたいなもんだから。」・・・と。
同級生や先生とか・・・みんなに言いふらしたんだ。
でもそれで・・・そのおかげで。
僕の高校生活は・・・すごく快適になった。
生徒会長だった翔ちゃん。
卒業しても・・・影響力は大きくて。
先生も先輩も同級生も・・・みんな僕に好意的で。
時々高校に遊びにくる茶髪の・・・ちょっとチャラくなった翔ちゃんは。
それでもみんなから歓迎されていて。
「和。元気か。」って。
頭をポンポンされるのが。
子供みたいで・・・少し恥ずかしかったけど。
でも・・・本当にお兄ちゃんみたいに感じて。
嬉しかったんだ。
そして・・・智。
みんな家が近かったけど。
智の家と僕の家は最後まで方向が一緒で。
だから・・・みんなで遊んだ帰り。
僕の家の前までは二人きりの時間。
本当はあの時僕はこう思ったんだよ・・・とか。
どうして翔ちゃんはあんなこと言ったの?・・・とか。
みんなに言えないこと・・・聞けないこと。
智にだけは全部話した。
智は・・・明確に答えてくれる時もあるし。
わかんねぇなぁ・・・と言う時もあって。
でもそれが・・・そんな緩さも僕にはすごく心地よくて。
遊び疲れた体と心が・・・智と一緒に歩く時間でクールダウンしていく感じで。
ユラユラと歩きながら・・・時々ぶつかりながら。
智と近い距離で帰るあの二人だけの時間が。
僕は・・・本当に好きだったんだ。
僕の大学受験の時は・・・翔ちゃんに家庭教師をやってもらった。
なのに。
意味もなく智も一緒に来て。
僕と翔ちゃんが勉強している最中に僕のベッドで横になり。
漫画読んで寝ちゃったり。
そのうちまーくんと潤君から連絡が来て。
みんなで近所のコンビニに集合し。
アイス買ったりお菓子買ったりして。
駐車場の隅でおしゃべりしたりして。
・・・。
・・・。
今思うと・・・あの時間は。
五人でいたあの時間は。
かけがえのない大切な時間だったんだと思う。
学校や勉強で縛られている中。
未成年・・・というある意味親に守られていた中での・・・自分で作りだした限られた自由な時間。
それを。
智や翔ちゃん・・・まーくんや潤君と一緒に過ごすことに費やしていて。
あれが・・・あの時が。
ホントに・・・本当の宝物のような時間だったんだと思う。
もう。
決して戻れないけど。
いつまでもいつまでも。
一緒にいられると思っていた。
五人で。
ずっと。
ずっと一緒にいられると思っていたんだ。
だって大人になったらシェアハウスしようよ・・・なんてまーくんが言ってたから。
だから・・・僕はそれを信じて。
その言葉を真に受けて。
ずっと一緒にいられるって。
そう・・・思っていたんだ。
自分も。
他の四人も・・・着々と成長していることに。
気づいていたのに。
気づかないフリをしていた。
僕の知らないことを知っている智。
僕の知らないことを経験した翔ちゃん。
僕の知らない人と遊んでいるまーくん。
僕の知らない物を持っている潤君。
そんなことに。
気づいたいたのに・・・ね。
そして・・・その時は。
突然訪れた。
ある日のこと。
僕が大学2年生になったある夏の日。
聞かされたんだ。
智の・・・みんなの。
ここからの旅立ちを。
つづく
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毎日20時に更新です。
楽しんでいただけたら・・・。
ではでは。
来てくださってありがとうございました。
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