大宮さんのBL物語です。
苦手な方はご注意を・・・。
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夜。
三人が眠る部屋の外・・・縁側で。
智様と二人・・・お酒を飲む。
翔が寺子屋で褒められた話とか。
雅紀が武術を習いたいと言っている話。
潤は・・・夕方縁側から落ちたけど泣かなかった・・・という話。
他愛もない話が。
二人の間で・・・語られる。
「和也。」
「・・・はい?」
「父上と母上が戻ってきたら・・・。」
「・・・。」
「隣町の呉服屋に一緒に行こう。」
「・・・呉服屋?」
「そうだ。着物をお前に買ってやる。」
「・・・そんな・・・新しい着物なんて・・・いいです。それに呉服屋なら何も隣町まで行かなくても・・・」
「あの呉服屋からは絶対に買わないぞ。いいんだ隣町で。その帰り・・・そばでも食って・・・。」
「・・・そば・・・?」
「あ・・・やっぱり朝から出かけよう。午前中に呉服屋に行ってそば食って・・・で午後は・・・。」
「・・・。」
「久しぶりに行くか。あの宿場町の宿へ。」
「・・・ぇ・・・。」
「・・・な。」
のぞき込むと。
ちょっと・・・意味ありげな笑みを返す智様。
なるほど・・・と合点がいく。
最近・・・ご無沙汰で。
ご主人さまと奥様が伊勢へと旅立たれてからは特に。
子どもたちが心配で・・・智様とそういうことを・・・いたしてなかったから。
特に潤は・・・まだ小さくて。
寝る時は一緒に寝てあげなくてはいけなくて。
・・・だから。
「和也。」
「・・・。」
「俺も・・・寂しいんだよ。」
「・・・。」
そっと。
膝に触れる智様の手。
いやらしくて・・・なんだか笑ってしまう///。
「では・・・今晩。」
「・・・え///。」
「今日はずいぶんと子どもたち三人とも遊びましたので。」
「・・・。」
「眠りが深いかと。」
「・・・そうか///。」
「ええ。」
「じゃあ・・・早速。な。」
「・・・ふふ・・・。」
お酒も途中で。
立ち上がる智様。
私の腕をとり・・・立ち上がらせると。
そのままの勢いで・・・私を抱きしめ。
口づけられる。
「ん///智様。」
「・・・ん?」
「でもいつ子供たちが起きるかわからないですから。」
「・・・ああ。」
「ですから・・・」
「早急に・・・だろ?」
「・・・はい。」
「急ぐのは慣れている。」
「・・・。」
「あの頃も・・・そうだったからな。」
「・・・そう・・・でしたね。」
一瞬・・・あの頃を思い出す。
夜に紛れ。
暗闇に隠れ。
二人・・・早急に交わった日々。
でも・・・今は。
早急に交わる必要はあっても。
あの頃とは・・その理由が違う。
意味が違う。
幸せな・・・焦りだ///。
三人が眠る部屋の隣へ・・・そっと入ると。
「おいで。」
あの頃と同じように手を引かれる。
私は・・・倒れこむように。
愛しい人の胸に・・・顔をうずめた。
「幸せ・・・。」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ・・・何も。」
「寒くないか?」
「大丈夫です。」
「和也。」
「智様。」
しゅる・・・と帯をとき。
そして・・・智様に身をゆだねた。
愛しい人。
その命を懸け。
私に・・・変わらぬ明日をくれた人。
もう迷わない決して。
離れない何があっても。
あなたのそばで・・・命尽きるまで愛しぬくと誓い。
その熱い体を・・・私から引き寄せた。
あなたと紡いでゆく季節は
まぶしく光満ちて
変わらぬ明日を祈るように
夜の果てを見つめて もう迷わない
終
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作者のナツコです。
読んでくださってありがとうございました。
ちょぴっと後書きあります///。
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