大宮バレンタイン③♪ | ナツコのブログ

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にのちゃんが大好きです。
かわいい大宮さんを愛でております。
大宮さんのお話(腐です///)なども書いております///♪

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大宮さんのBL物語です。


〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜






「まいったよ。待ち伏せみたいのされてさ。」


「手作りとか・・・勘弁してほしいよなぁ。」


「これなんてさ・・・なんかガチっぽくて。」


「俺モテ期なのかもな。」




浮かれて話す俺。


きっとヘラヘラと笑っていたんだろう。


ただただはしゃいでいた俺。


調子にのっていたんだ。


だから。


ずっと気づかなかった。


あの子が。


一言も発していないことに。



















もうすぐ駅ってところで。


すっと立ち止まるあの子。


俺はしゃべっていたから気づかなくて。


数歩進んでから・・・雨の中置いてけぼりになっているあの子に気づき。


あわてて戻り声をかけた。




「どうしたの?」




うつむくあの子。


俺の言葉に反応しない。




「どう・・・したの?」




もう一度聞く。


でも俯いたまま動かないあの子。


そこで・・・やっと気づく。


異変に。


ドキン・・・と心臓が跳ね上がり。


急に現実に戻ったように足からジワジワと寒さが上がって来る。




「・・・。」




声がかけられなくて。


ただ雨の降る中二人たたずむ。


















どれくらい立っていたか。


車が急にやってきて・・・だから俺は。


そっとその子の腕を持ち。


くいっと引っ張って道の端へと引き寄せた。


おとなしく引っ張られるあの子に。


少しだけ安心しながら顔を覗き込み。


もう一度声をかけた。




「どうしたの。」




すると。


顔を・・・すっと上げたその。


その・・・その子の瞳が濡れていたんだ。


絶句する俺に。


あの子は淡々と話しはじめた。




「大野さん。」


「・・・。」


「あなたと別れたい。」


「・・・え・・・。」


「あなたのこと・・・好きだけど。」


「・・・。」


「一緒にいると・・・辛いの。」




そう言うと。


さっと俺の傘から抜け出して駆けだして行ってしまった。


呆然と立ちすくむ俺。


え。


なんで。


どうして?


好きだけどって言ってた。


なのに別れたいって。


どういう意味?


いや・・・うん。


そういう意味。


そのままの意味だ。


・・・。


・・・。


傷付けた。


傷付けてしまったんだ。


調子に乗りすぎた。


なに・・・やってんだ俺。



















あわてて傘をさしたまま走る。


足は俺の方が早いから。


マジで全速力で走ればすぐに追いつける。


なのに。


走っても走っても追い付けない。


距離が全然縮まらない。


あの子の本気にあせる。


俺は傘をたたみスピードをあげた。


顔をたたきつける雨。


耳をかすめる風。


水たまりも気にせず真っすぐにあの子へと走る。


今までこんなに本気で走ったことないっていうくらい走って。


息を吸うためにあけた口が雨水だらけになったけど。


やっとの思いで。


駅へと向かう最後の曲がり角であの子をつかまえた。




「待って!」




腕をつかみ引き寄せた。


振り向いたその瞳。


目が合う。


びしょびしょに濡れていて。


でもきっと。


それは雨のせいじゃない。


初めて見る泣き顔に少しひるむ・・・と。




「はなして。」




ゆっくりと腕をとかれた。


その静かさが。


逆に心の傷の深さを物語っているようで。


閉ざされた心が見えて。


・・・。


・・・。


拒絶。


それを感じて俺は。


・・・。


・・・。


何も言えなくて。


ただ立ち停まりびしょ濡れのまま。


二人向かい合っていた。


何か言わなくちゃいけない。


何を言う?


何か言わなくちゃって思うのに。


今。


静かにとかれた腕が。


その感触が・・・全然強くもないのに。


触れられた感触が消えなくて。


心が焼けるように痛む。


下を向いたままで。


俺を見ようとしないその子。


あんなに近くにいたはずなのに。


心が遠のいていくのを感じて。


もう。


ここにいられない。


どうしたらいいのかわからない。


俺は。


その子の手を取り。


すっと・・・俺の傘を握らせ。


そして・・・そのまま。


その場を走って。


・・・。


・・・。


逃げた。


俺は。


そう。


逃げたんだ。



















そこから・・・電話もメールもLINEも通じなくて。


俺達ホントに別れたんだ・・・と自覚したのはかなり経ってからだった。


後からサークルの子に聞いた話。


あの子は・・・バレンタインのチョコを・・・義理も含めて全部断わっていた・・・ということ。


俺は。


なんてバカだったんだ。


・・・。


・・・。


ガキだったんだな・・・と。


そんなこと思い知った。








つづく


〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜


次は12時アップ予定です。