こちらは「暁」「三日月」「Japonesque」の続編でございます。
もしまだ未読の方がいらっしゃるようでしたら。
「暁」「三日月」「Japonesque」を先に読んでいただきますようにお願いいたします♪
↓
大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*~
・・・ここの・・・町が近づくにつれ感じ始めたのだが・・・
そう。
この町が近づくにつれ。
感じた魔の気配。
目には見えない黒い雲が。
この町全体を覆っている。
これは・・・陰陽師である父の。
その才能を受け継いだ私の・・・心の目で見える物だった。
・・・よくわかりましたね・・・智・・・
・・・さすがだね・・・
・・・この町の陰陽師は誰一人として気づいていない様子だ・・・
精霊たちは私に話してくれた。
少し前から魔の気配が大きくなり。
大きな力が町に集まってきている・・・と。
特にここ数日で大きく膨れ上がり。
精霊達も懸念していた・・・と言う。
とにかくまだ到着したばかりだし。
明日貴族の家に行きがてら様子を見てくる・・・とそう言って。
山を下りた。
森の精が。
今度は和也を連れて来てね・・・と。
優しい声で・・・伝えてきた。
家へと戻った。
3年前にもお世話になった長屋のおかみさんが。
空き家をしばらく貸してくれた。
町中からは少し離れているけれど。
小さな湖がすぐ裏手にあって。
静かで・・・過ごしやすい場所だ。
奥の間に敷いた布団の中で。
スヤスヤと・・・静かに眠る和也。
ここまでの長い道のりを。
尋常ではない速さで駆け抜けてきたので。
疲れているのであろう。
起こさぬように床に入る。
・・・と。
・・・ん・・・智様・・・
・・・すまない・・・起こしてしまったか・・・
・・・いえ・・・お帰りなさいませ・・・
・・・ん・・・
・・・いかがでしたか?・・・
・・・いかが・・・とは?・・・
・・・戻った事を・・・お伝えされてきたのでしょう?・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・誰に?・・・
・・・いえ・・・誰に・・・ではなくて・・・あの場所にただいまをお伝えしてきたのでは?・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・そうだ・・・
・・・ふふふ・・・誰に?・・・なんて・・・おかしなことをおっしゃって・・・
・・・・・・・・・
・・・まるで・・・どなたかがあの場所にいるようなお口ぶりで・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・ぁ・・・まさか・・・
・・・・・・・・・
・・・いらっしゃるのですか?・・・そのような・・・お方が・・・
・・・・・・・・・
・・・ただいま・・・と・・・お伝えする大切などなたかが・・・
初めはよくわからなかった。
和也がなんのことを言っているのか。
でも。
その・・・不安そうに揺れている瞳を見て。
何か・・・誤解をしているのだと気づく。
・・・誰も・・・おらぬ・・・
・・・・・・・・・
・・・和也の他に・・・大切な者などおらぬ・・・
・・・・・・・・・
・・・本当だ・・・
・・・はぃ・・・
そう言いつつ。
少しだけ眉根をよせて。
不安そうに私の胸に寄り添う和也。
いらぬ心配をさせてしまったようだ。
もしや和也は。
精霊達の存在を知っているのかと思ったが。
そうではなかったらしい。
少しだけ感じ取れるようだけど。
私のように声が聞こえるわけではないようだ。
それでも・・・あの場所を。
私の大切な場所だと大事に思ってくれる事が。
ありがたい。
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つづく